ハンド云々より…ドイツ5年目の「10番」原口元気が肩を落とした理由

ハノーファーは原口が攻撃の核となって反撃したものの1点が遠かった…。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

ハノーファーのナンバー10が抱えるもどかしさ。

[ブンデスリーガ1部 9節] ハノーファー 1-2 アウクスブルク/2018年10月27日/HDIアレーナ 

 ハノーファー96は10月27日のブンデスリーガ9節、ホームでFCアウクスブルクを迎えた一戦を1-2で落とした。試合後、スタンドを埋めるサポーターへ挨拶に向かう選手の中で、最も肩を落としていたのがエースナンバー10を背負う原口元気だった。

 リーグ2試合連続で先発した原口は攻撃の核となって、前半はトップ下、あるいは左サイドでプレー。8分に先制を許したホームチームだが、原口を中心に反撃へ転じる。35分、原口自身が放ったミドルは惜しくも外れ、前半終了間際にはニクラス・フェルクルクが相手GKと1対1になるスルーパスを供給。しかし得点には至らず、アウクスブルクのリードで前半を折り返した。

 後半に入ると、原口は右サイドに配置された。前半のゴールへ切れ込むプレーから一転、サイドからラストパスを供給するチャンスメーカーの役割を担う。

 ただ、その後も両チームの長所を消し合うタフな展開が続いた。前線の選手はマーカーと渡り合い、局面では激しいフィジカルコンタクトを繰り返す乱戦になる。原口のドリブルで攻略できるスペースはなく、パスも寸断される。両チームともに主導権を握り切れない。

 61分には原口のハンドから献上したPKで追加点を奪われてしまった。それでも原口のポジションチェンジが徐々に功を奏し、ハノーファーのチャンスは増えていった。原口の利き足は右。ドリブルからの得点より、ゴール中央へのラストパスを出しやすい形にするためのポジションチェンジだったと言えたかもしれない。72分には1点を返し、さらに攻勢を強めたが……。あと1点差を詰め切れず、ハノーファーはホームでの昨年9月以来の連勝を逃した。今季はこれで1勝3分5敗だ。

 原口のボールを扱う技術は、ハノーファーの中で際立っている。それだけに下位脱出を狙って特長を消し合い、パスも組み合わせて打開する理想からはほど遠い現状に、苛立ちを見せる場面が何度か見られた。

 何よりアウクスブルクのフィジカル重視のサッカーを打破できず、逆に流れを作ろうとすれば打ち消された。16位に低迷するチームの現状を表すように、個々の特長が噛み合うような相乗はなかなか起きず、閉塞感が漂っていた。

 だがこれがブンデスリーガとも言えて、ハノーファーを含めたほとんどのチームが、華麗にではなく、泥臭くとにかく勝つサッカーに徹している。チーム内でテクニックの光る「10番」原口は、チーム全体のスピードを上げたり、プレーレベルを底上げすることが主な役割となっている印象を受けた。

 ドイツで5年目を迎える原口は、ブンデスリーガを勝ち抜くサッカーは理解している。だからこそこの試合でハンドを取られたこと云々よりも、むしろ持てる力をチームのために十分発揮できずにいる現状へのもどかしさが、試合後の悔しさを滲ませた表情からは感じられた。

取材・文:徳原隆元
text by Takamoto TOKUHARA

Ads

Ads