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女王米国と引き分け。なでしこ高倉監督は不満「W杯本番のパワーはこれ以上」

「シービリーブスカップ」で指揮を執ったなでしこジャパン(日本女子代表)の高倉麻子監督。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

二度追い付いたことはプラスに捉えて。

[シービリーブスカップ] アメリカ 2-2 日本/2019年2月27日/タレン・エナジースタジアム

 女子代表チーム4か国対抗による「She Believes Cup(シービリーブスカップ)」で日本女子代表(なでしこジャパン)は2月27日の初戦、アメリカ女子代表と2-2で引き分けた。

 先制&勝ち越しを許すなか、後半、中島依美の左足のファインショット、さらにカウンターからの籾木結花の一撃と、なでしこの粘り強さと技術が合わさったゴールが生まれた。いずれも長谷川唯が絡むなど、アタッカー陣は期待に応えた。

 試合後、日本の高倉麻子監督は次のようにアメリカ戦を振り返った。

「前半は特に相手の圧力に対して受け身になり、何となく危険はシーンが増え、自分たちのシーンをなかなか作れませんでした。そのなかでも、よく耐えてくれました。二回追い付けたことは、プラスに捉えたいです。ただ内容を見ると、ビルドアップの出来は非常に悪かったと思います。もっとできるんじゃないかな、まだまだやれることが多いねという試合になったと思います」

 指揮官は”パス&ゴー”を繰り返せず物足りなかったと感じていた。もしかすると、それさえ出せれば、もっと優位に試合を進められたのではないかと言う。

「少し相手のサイド攻撃を食らった時に後手に回ってしまいました。相手に寄せられ厳しい態勢になったところで、もしかすると、パススピードのところで、簡単に解決するのではないかと感じるところもありました。パスを出して動く、出して動くと。自分たちの簡単なリズムを作れないところは不満に残りました」

 後半は両チームともに選手を入れ替え、また、先発していたアメリカの選手の運動量も落ちたことで、オープンな展開になった。そういう展開になれば、日本はある程度できる。高倉監督はそれを前提として考えていた。

「相手が解けてくれば(プレスが緩んでくれば)、ある程度、自分たちの時間になってくるのは分かっていました。ただ、前半1失点で済んだものの、クロスから崩され、2点、3点と失点していたら終わっていました。自分たちのボールになってもしっかり組み立てられずに取られて、もう一回(カウンターを)食らうという、少し腰が引けた感じになっていました。ただ修正力が高く、守備は後半に入り安定しましたし、修正しながらやれているところはプラスに捉えていきたいです」

 善戦はした。しかし、結局、勝てなかった。高倉監督はその点で改めて気を引き締めていた。

「(アジアカップからメンバーを変更したが)やられる形は変わっていません。サイドをえぐられて決められています。それもずっと課題ということで、トレーニングもしてきましたが、相手のストライカーの特長がそこで出されてしまった。それ以上のものを出さないと、『いい試合をしていたね』で結果的に負けてしまう。本番は相手もこれ以上のパワーを出してくるので、日本もそれ以上のパワーを示さないといけません」

 また、高倉監督はプレッシングへのこだわりも改めて示した。

「(プレスに関して)みんな意識を高くやってくれていると思います。相手のあることで、ハマらない時にどのように修正するか。その点はみんなで話し合っていきたいです。本当はもう少し前でかけたいとは感じています。

(リトリートにする考えは?)待ち構えて守備をしても結局、やられてしまうと思っています。日本は絶対にそういう戦いをしないほうがいい。ただ、サイドをえぐられた時に、中の対応はしっかりしようということ。基本は前からアグレッシブにハメてボールを獲りに行きたいですし、そこで同じ強度をかけていきたい。意思統一は図れていると思います。あとはW杯に向けてメンバーを絞っていくなかで、仕上げていきます」

 そのプレッシングの理想としては、「メンバーは代えていくけれども、誰がどこでプレーしてもプレスの強度は変わらないようにしたいです。交代カードも決まった交代ではなく、相手によって変えていきたい。なんとなくそこは実験中なところもあり、選手はよくやっていますが、まだまだやれると思います」とも語っていた。

「とにかく勝ちたかった」と唇を噛んだ高倉監督。何よりもまず、ボールポゼッション時のクオリティを上げていくことを、最大の課題に挙げていた。

文:サカノワ編集グループ

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