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副審負傷の5分間、日本女子代表『緊急ミーティング』が同点弾を生む

アメリカ戦でフル出場した日本女子代表のCB熊谷紗希。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

主将の熊谷紗希「『全員で前から行こう』と話し合った」

[シービリーブスカップ] アメリカ 2-2 日本/2019年2月27日/タレン・エナジースタジアム

 アメリカで開催中の4か国対抗「She Believes Cup(シービリーブスカップ)」で、日本女子代表(なでしこジャパン)が2月27日の初戦、アメリカ女子代表と2-2で引き分けた。

 なでしこジャパンは23分に先制点を許したものの、67分、長谷川唯のクロスから中島依美がクロスの跳ね返りを左足で振り抜き同点に。その後、再びホームチームのアメリカに1点を決められたものの、90+1分、遠藤純のスルーパスに長谷川唯が抜け出す。そして長谷川がDFとGKの3人を引き寄せて右にパスを放ち、籾木結花のゴールを演出した。

 この試合、日本が1-2とリードを許した後半終了間際、副審が足を痛めて、一時試合が中断された。副審の女性はインカムで状態を説明すると、アメリカの医療スタッフが駆け付ける。彼女は左足の違和感を訴えて一度座り、医療スタッフと話し合う。そして再び立ち上がると、大丈夫だと告げて、試合に戻った。

 その約5分間、なでしこジャパンの選手たちが一つにまとまり、意見を交わし合っていた。キャプテンの熊谷紗希はその『緊急ミーティング』の様子を説明する。

「副審が怪我をして止まった時、『あと5分、必ずチャンスはあるから、点を取りに行こう』という話をしました。そこでみんなが確認し、『全員で前から行こう』と話し合いました」

 1点リードのまま逃げ切りたいアメリカも、少し省エネモードで自陣を固めて試合を終えようとしていた。その隙を突き、前からアグレッシブに行こうというのだ。

 その狙いがハマった。試合が再開されたあと、日本は一段と攻勢を強めた。そして高い位置からのショートカウンターから、籾木の劇的ゴールが生まれた。

 熊谷は次のように収穫と課題を挙げていた。

「(2点目の場面など)そういったところは修正しながら進められたと思います。やはりアメリカは、自分たちが思っているよりも、一歩前に出てくるし、スピードも速いし、自分たちがやられたところを考えて練習して、もっともっと1対1の強化をして、中での守り方……クロスからの失点が多いので修正していきます。サイドからの崩しをアメリカも嫌がっていたと思うので、そういったところを続けながら、もっともっと自分たちのストロングポイントを出せるようにしていきたいです」

 熊谷はそのように気持ちを引き締めていた。

 なでしこジャパンがまさかの事態で生じた中断時間を有効活用し、ゴールにつなげた。その冷静な戦いぶりは、本番の女子ワールドカップでも、きっと生かてくるはず。そして今度こそ――アメリカに勝ちたい。

 日本は今大会、中2日でブラジル女子代表、イングランド女子代表と対戦する。

文:サカノワ編集グループ

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