湘南対横浜FMは審判の無線が故障!「オフサイド→スローイン」の謎が明らかに

武富のポジションとその後のプレーを巡る議論の結果…。(C)SAKANOWA

なぜ、選手たちは最終的に納得したのか?

[J1 14節] 湘南 1-2 横浜FM/2019年5月31日/Shonan BMWスタジアム平塚 

 J1リーグ14節の湘南ベルマーレ対横浜F・マリノス戦の27分、GK秋元陽太のフィードから、いくつかの「?(疑問符)」がつく判定が連続した。

 まず指宿洋史とチアゴ・マルチンスがヘディングで競り合い、チアゴ・マルチンスはファウルを主張したもののノーファウルでプレーが続行された。

 その時、武富孝介がオフサイドポジションにいたものの、オフサイドフラッグは上がらず「プレーオン」に。

 武富が抜け出すと、畠中槙之輔に後方から足をかけられて倒される。が、これもプレー続行に。武富が倒れたため、GK朴一圭がボールを外へ蹴り出し、プレーが一旦止まった。

 そこで西村雄一主審が先ほどのシーンについて、副審と協議をする。すると副審が旗を上げてオフサイドだと示した。しかし西村主審は湘南ボールのスローインを再開させて、横浜FMにボールを返すように伝えた。

 観ている人からすると、疑問が疑問を生む展開に。そんななか、最終的に選手たちは納得をしてプレーが再開されたのだ。

 この一連のシーンが、『DAZN』のコンテンツ「Jリーグジャッジリプレイ」で取り上げられ、そのなかで本サッカー協会(JFA)審判委員会副委員長のレイモンド・オリバー氏が詳しく解説をした。

 まず騒動の発端の要因として、なんと審判団の無線(インカム)の調子が悪く、試合中、連絡を取り合うことができなくなっていたということだ。そのため、アウト・オブ・プレーになったあと、審判と副審の確認作業を行ったのだという。オリバー氏は「5つのシチュエーションを考慮しないといけません」として、次のように説明をした。

 オリバー氏「まずGKからのキックです。その時、湘南の選手はオフサイドポジションにいました」

 まず前提として、武富がオフサイドポジションにいたこと。これは副審も確認していた。

 オリバー氏「そのあとのヘディングの競り合いは、私はフィフティ・フィフティだったと思います」

 指宿とチアゴ・マルチンスの競り合いについて、最も近くで見ていた主審の判断が優先されるべきであった。なので「ノーファウル」で問題はなかったということだ。

 オリバー氏「そしてマリノスの選手(チアゴ・マルチンス)がヘディングをしたかどうかです。もしも触っていた場合、オフサイドにはなりません」 

 ただ、誰がボールに触れたかで、オフサイドかどうか判定が変わってくる。現状のルールだと、球際へ競り合いに行っているチアゴ・マルチンスがボールに触れていれば、武富のオフサイドが「無効」になるのだ。

 そのため副審は旗を上げていなかった(上げてしまうと、その時点で基本的にはプレーが止まるため)。 

 ただ西村主審は、どちらもボールに触れていないことも確認していた。

 オリバー氏「最後は、ドグソ(決定機阻止)かどうかです」

 オフサイドではなく「プレーオン」の状況であれば、畠中にレッドカードが出ていてもおかしくなかった。

 そして無線が壊れているため、主審は副審と協議。副審は武富がオフサイドポジションにいたことを伝える。ただし、指宿とチアゴ・マルチンスのヘディングの競り合いで、どちらがボールに触れたかまでは分からないと伝える。

 西村主審はその説明を聞いて、「武富のオフサイド」の判定を下した。

 しかし、ここで無線問題が再び絡む。

 そこで副審が旗を上げると、ちょうど振り向いて歩き出した西村主審はそれに気付かなかった。

 そのあと、西村主審が選手たちに、オフサイドについて説明をする。

 オリバー氏は次のように解説をした。

「(西村)主審から選手に『オフサイドだった』と説明しています。(副審が)誰がボールに触れたか分からなかったのでプレーオンになった、と。そこで混乱が起きたが、リスタートすることがより良いと伝えています。選手全員が落ち着いていますし、オフサイドの説明に納得しています。そして湘南のスローインのあと、ボールをマリノスに返したのです(湘南のオフサイドで、横浜FMボールでの再開になるため)」

 つまり、「オフサイド」の判定自体には問題がなかったという。

「ドグソによるレッドカードもなくなりました。あとは、きっちりと間接フリーキックから再開していれば、完璧でした」

 そこも無線が通じていれば、おそらく問題なかったのだろう。

 それにしても疑問が疑問を生んだシーンだったが、無線が故障していた、という背景を知ることで、説得力も増す。選手たちをすぐプレーに集中させることができた、西村主審らの裁量が光ったとも言える一幕だった。

文:サカノワ編集グループ

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