【なでしこ】浦和からW杯へ。南萌華が2011年から憧れてきた熊谷紗希とW杯のピッチに立つ

アルゼンチン女子代表戦でプレーする南萌華。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

ユース時代、熊谷が練習参加。「もうめちゃくちゃ緊張しました」

 なでしこジャパン(日本女子代表)として初めてのワールドカップ(W杯)に臨んでいるDF南萌華(浦和レッズレディース)は、サッカーを始めた埼玉県吉川市の小学生時代、FWもMFもDFも「あらゆるポジションを交互によくプレーしていました」と言う。とにかくボールを蹴ることを楽しんでいた。

 そして浦和レッズレディースのジュニアユースに加入。中学1年生の時、DF一本に絞った。

「その頃から身長が高かったこともありました。ただ、あの頃はとにかくひたむきにやっていて、失点しないことだけを考えてやっていました。そこからは『センターバック』に絞って気付けばやってきました」

 サッカーに夢中になり、気付いた時には「CB南」が定着していたという。

 彼女たちはなでしこジャパンが初の「世界一」に輝いた、2011年ドイツ女子ワールドカップを見て、サッカーにのめりこんでいった世代にあたる。最前線から最後方まで、スーパーサブやクローザー……誰一人欠けていてもいけない、光り輝く23人のタレントが揃っていたチームに触発されてきた。

 ドイツ女子W杯決勝。最後のPKキッカーとして「世界一」を決めるキックを突き刺した、あのDF熊谷紗希に憧れを抱いたのも自然な流れだった。

 そしてドイツでプレーしていた熊谷がオフで帰国した際、コンディション調整を兼ねて浦和レディースユースの練習に参加した(熊谷は浦和レディースでプレーし、2011年の優勝を果たしたあと、ドイツ、フランスでプレーしている)。高2の南は少し熊谷と話をかわし、一緒にプレーする機会にも恵まれた。

「何を話したのか忘れました。もうめちゃくちゃ緊張していました!」

 南は各世代別の代表に選ばれ、2018年にはU-20女子日本代表の主将としてフランスU-20女子ワールドカップで優勝を果たし、「ブロンズボール」賞を獲得した。そこで、なでしこジャパン(日本女子代表)でプレーすること、W杯や五輪で世界一になることが具体的な目標になった。

 そして、このW杯まで何度かなでしこジャパンにも選ばれた。

「最初の海外遠征ではどうしても年上の先輩たちに、どこか頼ってしまっているところがありました。ただ、それではチームが強くなっていけないし、勝っていけない。そこからはあまり年齢は関係なく、上の人とも積極的にコミュニケーションをとることが大事だと考えるようになりました」

 熊谷はいまやなでしこジャパンの不動の主将に。あの憧れの存在と、なでしこジャパンでセンターバックのコンビを組むことになった。

 前回のフランス遠征の際、熊谷からこう言われたという。

「全然、ミスしていいからね! ただ自信を持ってプレーしてほしい。緊張するのは仕方ないけど、それでプレーが消極的になったり、小さくなってしまうのだけは、やめてね!」

 あとは私に任せておけ。まず南が求められているのは怖がらず、恐れずに立ち向かっていくこと。やはり”世界最高の先輩”に恵まれたとも感じた。

 フランス女子W杯のグループステージ初戦アルゼンチン戦。この大舞台で、28歳の熊谷と20歳の南――二人が揃ってピッチに立ち、無失点に抑えた。試合には勝てなかったものの、彼女たちの堂々と落ち着いたプレーぶりは、なでしこのこれまでになかった”武器”になるようにも感じた。

「若い選手たちもできるんだぞというところを見せたい。それに2011年のW杯で私が感動を受けたように、皆さんが観ていて楽しいと感じてくれたり、そこを目標としてくれたり、『なでしこジャパン、すごいな』と思ってもらえるようなプレーを見せたいです」

 大会前、南はそのように決意を示していた。

 なでしこジャパンは14日日本時間22時から、スコットランド代表と対戦する。グループステージ突破に向けて勝利が求められる一戦。FIFAランキングは日本が7位、スコットランドが20位(アルゼンチンは37位)。

 南はアルゼンチン戦に続いてクールに、さらに熱く闘志を燃やして、日本の勝利のために全力で立ち向かう。

浦和レディースからフランス女子W杯のメンバーに選ばれた(左から)池田咲紀子、菅澤優衣香、そして南萌華。(C)SAKANOWA

取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI

Posted by 塚越始

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