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【コパ・アメリカ】久保建英が幻のゴール。なぜ新基準でもオフサイドだったのか?

日本代表の久保建英。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

VAR判定に祈る久保。直前のDFが「意図的にプレーした」場合、オフサイドが無効になるはずだが今回は――。

[コパ・アメリカ GS③] 日本 – エクアドル/2019年6月25日8:00(日本時間)/ミネイロン

 コパ・アメリカ(南米選手権)のグループステージ3節、日本代表はエクアドル代表と対戦し、中島翔哉のゴールで先制したものの追い付かれて1-1で引き分けた。日本は2分1敗の勝点2。グループ3位でベスト8進出を逃した。

 両チーム1点ずつ取り合って迎えた後半アディショナルタイム、日本に劇的ゴールの瞬間が訪れた。しかも久保建英が決めた!――かに思われた。

 勝てば8強に進めるとあって両チームともに攻め合うなか、中島がカウンターで中央から抜け出して、左サイドに抜け出た久保へパスをつなぐ。相手を引き付けた久保がクロスを放ち、それを受けた中島がシュートを放つ。

 中島のシュートはスライディングでブロックに入った相手DFに当たり、ボールが左サイドにこぼれる。そこにいたのが久保だ。日本の21番は利き足とは逆の右足でシュートをねじ込み、ゴールネットを揺らした。

 しかし副審の旗が上がり、オフサイドの判定に。しかしその後、VARが介入。このシーンについて主審とVARの間で協議が行われた。

 久保は手を合わせて祈る。が……判定は覆らず、プレーは続行された。

 中島がシュートを放った時、確かに久保はオフサイドポジションにいた。しかし2015年に改訂されたオフサイドの新スタンダードでは、「直前のプレーで守備側の選手が『意図的にプレー』して、オフサイドポジションにいた攻撃側の選手にボールが渡った場合、オフサイドが無効になる」と規定されている。

 J1リーグ昨季24節の川崎フロンターレ対ベガルタ仙台戦。川崎がヘディングでクリアした時、中村憲剛はオフサイドポジションにいた。しかし、相手がそのボールをクリアミスして、こぼれてきたボールを中村が拾って躊躇わず決めたゴールが認められた。そのシーンは、まさに「直前に守備者がプレーし、オフサイドが無効化する」ケースの”参考例”としてよく挙げられてきた。

 今回、中島のシュートに対し、エクアドルの選手がブロックに行っている。それも「意図的なプレー」だったのではないか?

 主審とVARによる協議も、その判断の確認だった。祈る久保も、そのあたりを話し合っていると把握していたのだろう。しかし……判定が覆り日本のゴールが認められることはなかった。

 守備側の「ブロック」は、確かに「意図」のあるプレーと言えそうだ。ただし、シュートに対し、身を挺してスライディングなどに向かうのは、ボールが当たるかどうかは分からない行為でもある。その意味で今回の場合、ブロックは「意図的なプレー」には該当しない。つまり、ボールを自ら蹴りに行っている(プレーしようとしている)、という対象にはならないのだ。

 もちろん、とはいえボールに向かう意図はあっただけに、解釈が難しいところではある。それだけに一縷の望みに託して祈り続けた久保の想いも伝わってくる。

 結果的にそれが日本のラストチャンスになった。その後は逆に、日本がエクアドルの猛攻を耐えしのぐ形になり、1-1で引き分けた。

 久保は今大会3試合に出場(2試合先発)し無得点に終わった。このあと日本に戻り、FC東京でもファンへのあいさつを行う予定で調整している。そしてその後、レアル・マドリードへ合流する。

 日本のコパ・アメリカの結果は次の通り。

▽グループステージ 
※日本時間(いずれも現地時間は、前日20時開始)
vs チリ代表 
6月18日
●0-4
得点者:なし 

vs ウルグアイ代表 
6月21日
△2-2
得点者:三好②

vs エクアドル代表 
6月25日
△1-1
得点者:中島

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