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【湘南】Jリーグが曺監督のパワハラ認定「二度と顔を見せるな」など恫喝。環境改善と再発防止を求める

湘南の曺貴裁監督。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI

生々しい発言が調査報告書にまとめられる。告発報道後に「裏が取れた」とスタッフを犯人扱いに。

 公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)は10月4日、湘南ベルマーレの曺貴裁監督のパワーハラスメント(パワハラ)疑惑に関する「湘南ベルマーレに関する通報などにかかる調査報告書(要約・公表版)」を発表した。Jリーグの村井満チェアマン 、「芝・田中経営法律事務所」の芝昭彦弁護士が記者会見を行い、曺監督にけん責と5試合の出場停止、湘南にけん責と制裁金200万円の制裁を科した。

 報告書の要約・公表版はA4用紙18ページにまとめられている。調査は、湘南の曺貴裁監督を含むクラブ関係者60人に対し、面談または(テレビ)電話によるヒアリングを実施。また、クラブから提出されたロッカールームなどの録画記録のほか、各種公開資料の分析・検証を行ったという。7月から調査は進められていた。

 その結果、「客観的な証拠が存在しているものは少なく、供述者の記憶や表現の相違などあり、一言一句正確なものとは言い難く、曺氏が否認したものも多数認められたが、調査チームは複数の供述の一致の有無、具体性・明確性・迫真性・供述態度・背景事情などを慎重に検討した結果、以下に近い言動があったと考える」と報告している。精神的な影響まで及んだ厳しい言動は、選手とスタッフ、それぞれにあった。

 そのうえで、例えば2019年7月の福島キャンプでの練習中、曺監督から選手とスタッフへ次のような言動があった。選手に対し「本当に使えねえな」「お前ら何年やってんだ」「お前ら遊んでる。遊ぶんだったら外にいろ」などと怒鳴り、スタッフにも「二度と顔を見せるな」「お前の代わりはいくらでもいる」「ここいる意味がない」などと叱責があったという。

 他にも2019年のスタッフミーティングなどでも、スタッフに対し「人格否定されるような言葉を何回も受けている」など報告があった。

 さらに今回のパワハラ疑惑報道があった時、スタッフに電話して「裏が取れた。内通者がいるらしい。俺は〇〇(スタッフの名前)だと思っている「徹底的に戦うつもりだ」と、スタッフを犯人扱いしたという。同スタッフは強いショックを受け、泣きながら関係者に連絡を取り、恐怖や不安から出勤できなくなったそうだ。

 そのほかにも具体的な発言がいくつかのシチュエーションで伝えられている。2016年には「有形力の行使」として、ウォーミングアップの担当コーチのやり方に不満を抱き、胸ぐらを掴んで壁に勢いよく押し付け、関係者によると「何発か殴った「ビンタした」などとも述べられている。

 一方、曺監督は「そのような発言はしていない、同様のシチュエーションはあったが発言の具体的な文言もしくはニュアンスが異なる、または同様の発言をしたかもしれないが、その文脈上の必要性や正当な意図・目的がある、と主張している」「(胸倉を掴んだ件について)曺監督はそういった事実はないと主張している」とも書かれている。ただし同調査チームは「関係者の供述などを総合して判断すれば、事実を認定できると考える」として公表に踏み切った。

 そうしたなか、同調査チームは「Jリーグ及び湘南ベルマーレにおいて、曺氏に対して厳正な対応を採るとともに、職場環境の改善及び再発防止を図る必要があると考える」としている。

 さらに「社会的非難を受け得る状況を招いてしまったことについては、フロント幹部の責任は重い」と、フロントの責任にも言及している。一方、曺監督の「指導方法やその熱意などについて賞賛する選手その他の関係者も少なくないことからすると、同氏の指導方法などには良い面があったことも否定し難いところである」とも記されている。

 このあと夕方、株式会社湘南ベルマーレ代表取締役の眞壁潔会長、 同じく水谷尚人社長も記者会見を行う。

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[文:サカノワ編集グループ]

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