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【J1参入決定戦】外国籍選手枠はJ2規定、ACL組に配慮。「不公平」の声に原副理事長が解説「例えば浦和がクラブW杯に出ていたら―」

2019シーズン、徳島とのJ1参入決定戦で引き分け、J1残留を決定させて歓喜する湘南の斎藤未月。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI

J2は22チーム構成。プレーオフを改善するならば、「3チーム自動降格」など全体での議論も必要に。

 Jリーグの原博実副理事長が12月19日、「J1参入プレーオフ決定戦」でJ2の代表チームがあまりに不利すぎるのではないかという声が挙がっていることについて、リーグ内での議論の内容など、You Tubeの「Jリーグ公式チャンネル」にて詳しく解説した。

 J1参入決定戦は、J1・16位チームとJ2の「3位から6位」のプレーオフを勝ち上がってチームが対戦。J1・16位チームのホームゲームで行われ、90分間1本。引き分けの場合は、J1・16位チームがJ1残留となる。

 J2からの参戦組はプレーオフ2試合を勝ち上がり(レギュラーシーズン上位チームは引き分けでもOK)、最後に相手ホームゲームでJ1チームに”勝利”しなければならない。高いハードルが続き、今回湘南ベルマーレと1-1で引き分けた徳島ヴォルティス(J2・4位)のリカルド・ロドリゲス監督は「J2の代表チームにとっては、不公平なシステム。再考が必要では」と語った。

 原副理事長によると、2018年の決定戦の結果を受けて(ジュビロ磐田が東京ヴェルディに2-0勝利)、Jリーグ内でも協議が行われてきたという。

 まず、18チーム構成のJ1リーグからの3チーム自動降格は厳しいのではないか、ということで入れ替え戦が採用された経緯があった。

 欧州のリーグを見た場合、イングランドやスペインのような1部リーグが20チームで編成されている場合、3チームの自動降格が採用されている。

 しかしドイツのように18チーム編成の場合、プレーオフの入れ替え戦が採用されている。ドイツの場合は1部・16位と2部・3位によるホーム&アウェー戦である。

 ただ、J2側からは2012年から採用されてきた「3位から6位」によるプレーオフ制度は、シーズン終盤の盛り上がりのためにも維持してほしいという声が出ていた。

「公平性を重視するのであれば、J1・16位とJ2・3位のホーム&アウェーの入れ替え戦が妥当。ただ、3位から6位のプレーオフ維持が、J2の総意でもあった」(原副理事長)

 また、J1からは多額の投資をしても、ACL出場チームが16位で自動降格になるリスクがあまりに高すぎるという指摘も出ていた。ちょうどJリーグ勢がACLを勝てずにいた時代で、J1クラブからは「ACLに力を入れるほど、降格の可能性も高まる」と危機的な声が出ていた。ちょうどJリーグが、強いチームに資金を投じるように方針を転換した時とも重なる。

 そこで2018年から下位2チームが自動降格(今季はジュビロ磐田、松本山雅FC)、16位の1チームが入れ替え決定戦に回る「2・5枠」が採用されたということだ。

 また、外国籍選手枠も、リーグ戦ではJ1が5人、J2が4人までとなっている。ただ参入決定戦のレギュレーションは、J2の「4人まで」に合わせ、アドバンテージのバランスを図った。

「J2からの昇格チームの1年で降格している確率なども踏まえ、確かにJ1のホームゲームで、引き分けでは昇格できないが、レギュレーションのバランスでいうと、いいところを取っている」(原副理事長)

 参入決定戦をホーム&アウェー制にすべきだという声も多い。ただ、「日程的に考えると厳しい」と原副理事庄は説明する。「例えば今季、浦和がクラブワールドカップに出場していたら(そして16位だったら)、ホームとアウェーの入れ替え戦2試合は組み込めない。そういった世界のあらゆるカレンダーとも関係してくる」と語った。加えて、プレーオフ2試合を勝ち上がってきたJ2チームが、さらに決定戦で2連戦するのも、見方によってはデメリットになりかねない。

 現状の5チームによるトーナメント制を維持するのであれば、最後の参入決定戦はヒリヒリする一発勝負が妥当ではないか、とのことだ。

 そこで浮上するのが中立地案。「国立競技場」での開催になるか。

 ただし、他の案、Jリーグの管轄ではない国立以外、あるいは球技場での開催を考えると、”ベター”な案が出てこない(以前のプレーオフ制度で、決定戦を長居開催にしたところ、セレッソ大阪が回ってきてしまった過去も)。

 また、J2は22チームで構成されている。現在はJ3には2チームが自動降格する制度だが、チーム数で考えると、そこも実は”保護”されている状況であるという。

 上位のみならず、J3への自動降格も3チームにすべきではないか、という意見も出てくるわけだ。実際、J3のチーム数は増加している。そのように、原副理事長は「総合的に考える必要が出てくる」とも指摘した。

 では、そういった意見や議論の内容も踏まえ、J1参入決定戦はどのような開催にするのが好ましいだろうか。

【続き】「国立競技場」開催が妥当か。使えない場合、あるいは球技場優先にしたい場合は?

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