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明日J3開幕! 「藤枝ファミリーを支える最後の砦」シジマールが説いたGKの姿勢、田口潤人の成長を促すキッカケに

藤枝から新潟に移籍した田口(上)。今季ヘッドコーチに就任したシジマール氏(下)(C)SAKANOWA

今季から藤枝のヘッドコーチに”昇格”。田口は新潟に”ステップアップ”。

 田口潤人(21歳)は昨季J3の藤枝MYFCで正ゴールキーパーとして活躍し、今季アルビレックス新潟に移籍した。2015、16年に在籍した横浜F・マリノスで出場機会を得られず、J3への期限付き移籍により21試合に出場。下部組織から育った横浜を退団したものの、J3から新潟へ”ステップアップ”した形で、今季の活躍が期待される。

 昨季、藤枝時代の田口を支えたのが、シジマールコーチだった。93年から95年まで黎明期のJリーグで清水エスパルスのゴールを守り、数々の伝説を作り、今なお”J史上最高峰のGK”の一人として必ず名前が挙がる。

 指導者として柏レイソルやヴィッセル神戸、浜松開誠館高などを経て、2017年に藤枝のGKコーチに就任。今季からはヘッドコーチとして、大石篤人監督をサポートする。

 昨季チーム最多21試合に出場した田口は、シジマール監督から特にメンタル面での「自覚」「責任感」について強い影響を受けたという。昨季終盤、田口はこんなことを語っていた。

「シジマールさんの技術的な指導はもちろんとてもためになりますが、さらにGKの試合に臨む際の心構え、チームの中でのピッチ内外での役割、そういった話をしてもらえて、メンタル面でとても大きな影響を受けました」

 GKはファミリーの家を守る最後の砦――田口が心に残っている言葉だ。

「試合に出ている、出ていないにかかわらず、GKとシジマールコーチで一つのファミリーなんだと、前向きに意欲的に練習から取り組める雰囲気を作ってくれていました。そして、ゴールは藤枝ファミリーの家だとしたら、GKは最後の砦。ボールは泥棒。そいつを侵入させないことがGKの一番の仕事になる。だから最後は絶対に俺がこの家を守るから、みんなは1点取ってほしい。そういう強い気持ちを持って守り切れ、という言葉が印象に残っています」

 ピッチに立つ選手のためだけではない。サポーター、スタッフ、そしてクラブを支えるあらゆる人たち……。そういったクラブの「ファミリー」のまさに最後の砦になるのがゴールキーパーなのだ、と。それぐらいの強い覚悟を持つこと。その自覚があってこそ、ピッチに立つ資格が与えられる。普段は気さくで温厚な55歳のブラジリアンだが、スタンスは変わらずプロフェッショナルだ。

 普段、シジマールコーチは選手にスポットライトが当たるように、メディアへの登場を控えている。一方、試合会場で相手サポーターからでもサインを求められれば喜んで応じる。それもまた藤枝というファミリーを守り、そしてサッカーを愛する一人としての変わらないスタンスなのだろう。

 J3リーグは3月9日に開幕する。藤枝は10日13時からホームでAC長野パルセイロと対戦する。

取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI

Posted by 塚越始

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