まだ浦和に帰ってきていない――山田直輝の言葉の真意とは?

山田が「浦和復帰」を実感できるのはいつか。(C)SAKANOWA

埼スタ復帰戦で感じた、自身とチームの”足りないもの”。

「うーん。まだ帰ってきたって実感は沸かないです」

 埼玉スタジアムのピッチに4年ぶりに立った山田直輝は、「おかえり」と声を掛けられると歯痒そうにしていた。リーグ初勝利を誓って臨んだ3月18日の4節・横浜FM戦、投入後の81分に失点を喫して、結局0-1で敗れた。

「僕が入ったときは1点ほしい時間帯でした。でも押し込まれてしまい、まず失点しないように守備のことから考えて入りましたけど、1点取られて負けてしまった。すごく責任を感じています」。山田はそう語って肩を落とした。

 軽い故障で別メニュー調整などもしながら、4年前とは違う背番号18をつけた新たな山田直輝を披露する日を迎えた。狙うは勝利につながる仕事。そのためには劣勢になりつつあった戦況を打開しなければならない。堀孝史監督からは「中盤から飛び込んでくる選手についていけなくなっているので、そこをケアしてくれ。それが上手くいかなければポジションチェンジもする」と指示を受けた。

 ただ、一人で改善するには難しい状況に陥っていった。山田は振り返る。

「守備が前と後ろで分断されて、両チームとも中盤がないような、どっちが点を入れてもおかしくない試合の流れになってしまい、点をとられたら前から行くしかなくて……。そうなってからボールも回り出したけど、点が取られるより前にできていれば。取られてからだと、体力的に厳しくなっていきました」

 なかなか噛み合わない。浦和の現状を物語るような展開が続いた。76分、山田自身も柏木からのパスを決め切れず「(柏木)陽介くんから絶対に来ると分かっていた。あのプレーで勝敗が決まってしまったと責任を感じています。1プレーがすべてを変える。そういうプレーでした」と責任を痛感。そして…ウーゴ・ヴィエイラに決勝点を奪われた。

 ただ山田が”課題”に感じ取っていたのは、別のところにあった。

「サッカーどうこうのところより、気持ちの部分や考え方のところで、変えなければいけないところがあると、僕は思います。切り替えの部分など意識一つで変えていける。そこだと思います」

 その点について、彼は少し具体的に話してくれた。

「1日で変えられる、そういった考え方のところで負けていると思います。ボールに向かうところ、切り替えの遅さ、責任を持たない守備……一瞬、気を抜いたところでやられるのがJ1。ただ、それは頭で変えられる。そこを変えて、90分できないと厳しいかなと思いました」

 それは山田が自分自身であり、チームに足りていないと感じていた部分だと分かる。

 浦和の前半の戦いぶりは、確かに気持ちがこもっていた。ただ、個々が気合十分でも、それが連動し合う場面は限られた。意図を持ったコンビネーションなのか、勢いよく行ったことで偶然ハマった連係だったのか、そのあたりも検証が必要だ。堀監督のもと、守備重視でチーム再建を図ってきたが、どこで、どのように攻撃のスイッチを入れるのか、そのあたりが整理されていない感じがする。選手が抱えている不安を取り除ければ、山田の挙げていた”弱さ”も改善されそうだ。

 山田は「90分間走り続ける自信はあります。そこだけは絶対に誰にも負けないし、チームに足りないところだと思うので、そこをアピールするだけです」と誓う。そして「スタメンで試合に出て、勝利に貢献できない限り、(帰ってきたという)その気持ちはたぶん沸いてこないです。レギュラーを奪って、勝利に貢献するだけです」と、レギュラー獲得への思いをさらに強めていた。

 思い描いていたような埼スタ復帰は果たせなった。とはいえシーズンはまだ始まったばかり。山田がピッチを躍動し、サポーターを歓喜させ、小さい目をさらに小さくして、少年のような笑顔を浮かべる日が待たれる。

取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI

Posted by 塚越始

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