ギレルメ暴行より重要だ! 戦列復帰の喜田拓也が示した横浜FM巻き返しへの「覚悟」

横浜FMの喜田。(C)SAKANOWA

「漠然と考えていたわけではない」。控えめななか、伝わってきた強い覚悟。

[J1 13節] 名古屋 – 横浜FM/2018年5月5日/豊田スタジアム

 12節のジュビロ磐田戦でDFギレルメに蹴られたことで注目を集めてしまった横浜F・マリノスの喜田拓也だが、彼にとってその試合は3月2日の柏レイソル戦以来ちょうど3か月ぶりの実戦復帰の場となった。泥臭いプレーでチームを支えることのできる彼には、ここ7試合で1勝しか挙げられず16位に低迷するチームが巻き返すための”救世主”のような役割が期待される。

 開幕からリーグ2試合連続で先発した喜田は4-3-3のアンカーを務め、素早いサイドチェンジを織り交ぜて攻撃のテンポを作っていた。最近は対策を練ってくるチームが多いが、比較的フリーでボールを受けることが多く、ボールを奪った瞬間に「起点」になるキーポジションだ。

 しかしその後両足首を相次いで傷めてしまう。チームが結果を残せずにいるのを悔しい想いで見つめながらリハビリに努め、ようやく戦列復帰を果たした。

 5月2日の磐田戦では中町と交代で63分からピッチに立ち、天野と2ボランチを形成。彼らしいタイトな守備でボールをよく拾ってみせたが、守備をしっかり固める敵陣を攻略することはできなかった。

 ギレルメ暴行騒動に関する話のあと、喜田にプレー面について少し話を聞いた。

「試合に入った時点で難しい局面にあり(3点リードされていた)、相手はベタ引きだったので、どのように動かしていこうかと思いました。自分が入ることで、特長を持った選手はたくさんいたので、それを生かせるように、できるだけ前に人数を懸けられるように考えました」

 そのように喜田は黒子に徹した。だが結果が伴わなかっただけに、悔しさを噛み締めていた。

「いつまでも、いいサッカーをしている、面白いサッカーをしているというだけでは、甘えていると言われても仕方ないです。結果を残していかないといけない。もちろん、そこは必ず融合していくはずです」

 そのために必要なことは――。

「自信と勇気、本当にそういうところが大切。そこで結果を残していかなければ、確固たるものになっていかない。強い気持ちで乗り越えていくしかないです」

 具体的に喜田の生かし方を考えたい。彼は最終ラインからのパスを受けたり、時に強烈なプレッシングでボールを奪ったり、中盤の底で起点となり、ショートパスにダイナミックなサイドチェンジを織り交ぜながら攻撃のメリハリをつけていた。最近は中盤からなかなか質の高いボールが前線に供給されずにいるのが苦戦の一因に挙げられる。喜田にはあらゆる面で「変化」をつけることが求められる。

「ずっと外から見て感じたことをチームに還元できればと思います。そうすることで、チームがどのように回るのかチャレンジしたい。もちろんピッチの中で感じること、距離感は全然違うはずですが」

 喜田は冷静に語る。

「とはいえ……ケガをしていた間、自分の役割を整理し、何をやるべきなのか、ただ漠然と考えていたわけではありません。これから出していきます」

 声のトーンは変わらない。「ただ漠然と考えていたわけではない」というその言葉からは、控えめな中にも、俺が何とかしてみせるという覚悟が伝わってきた。

取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI

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