「狭間で生きろ」山岸祐也が復活2ゴール!大木監督の言葉の真意とは?

FC岐阜の山岸祐也 写真:後藤勝/(C)Masaru GOTO

元同僚の江坂任、瀬川祐輔がJ1へ移籍していくなかで。

[J2 17節] FC岐阜 4-0 水戸ホーリーホック/2018年6月2日/岐阜メモリアルセンター長良川競技場

 FC岐阜がJ2・17節で水戸ホーリーホックに4-0の完勝を収め、首位から勝点7差、目標だったひと桁順位の8位に浮上した。この試合で今季初ゴールとなる先制PKを含む2ゴールを叩き出したのが新9番の山岸祐也だった。

 1節と3節にセンターフォワードとして先発した山岸だが、4節以降、左ふともも裏の肉離れを起こすなど戦列から離れた。7節のヴァンフォーレ甲府戦で69分から途中出場から復帰すると、古橋亨梧へのスルーパス、福村貴幸のクロスにヘディングシュートと見せ場を作った。「決めなければいけないシーンだったと思うし、あそこで違いを見せなければ」とチームを活性化させる存在になっていたが、反省を繰り返した。

 大木監督は山岸の特長について次のように語る。

「練習からいい形を作っていて、ミニゲームの練習では一番点を獲っている。難波(宏明)同様、ゴール前の泥臭さがある。『どこでもやります。任せてください』と、ポジティブなので、そのあたりにも期待しています」

 練習で見せる決定力と可能性。その開花に大木監督は懸けていた。

 かつて大木監督が手塩にかけた須藤大輔はヴァンフォーレ甲府で2007年にブレイクし、30歳でナビスコカップ得点王を獲得した。山岸は今年25歳、まだまだ高みを目指せる。

 須藤もそして山岸も「9番」をつける。大木サッカーの9番は特別と言える。

「大木さんの『9番』は、中盤にも落ちる。その分ゴール前に顔を出せなくなるけど、張っているだけでもボールは入ってこない。そこ(岐阜の9番を成立させること)が課題」

 最近は出場機会を掴めずにいたが、16節のアルビレックス新潟戦(〇2-1)で田中パウロ淳一に代わり右ウイングで途中出場し、17節の水戸戦で先発。再び調子を高め、指揮官からも信頼され出してきた。

「大木さんから『狭間で生きろ』とよく言われます。『言われたことと言っていないことの狭間で生きていけ』と。上手くそういうところを、試合の状況や流れを読んでやっていかないといけないと感じています。あとは守備。ボールに行け、とよく大木さんから言われるので。そこはもっと激しく行かないと、いけないと思います」

 本職ではない右ウイングでの2ゴールは、まさに狭間で生きる力の証明。とはいえ相手を背負い、大木サッカーを背負い、FC岐阜サポーターの想いを背負う9番となるには、今季これまでの成績ではまだ物足りない。流経大からザスパクサツ群馬に加わって2年を過ごし、岐阜での挑戦を決断。元チームメイトだった江坂任(流経大→群馬→柏→大宮)、瀬川祐輔(流経大→群馬→柏)らが一足先にJ1のクラブへ移籍していったなか、「狭間で生きる」山岸の本当の戦いがここから始まる。

取材・文:後藤勝
text by Masaru GOTO

著者プロフィール:FC東京を中心にサッカーからアニメ、ゲームなど幅広く手掛けるライター。FC岐阜も精力的に取材する。近著に「クラシックゲーム a GO GO 熱かった1980年代からゲーム史を読み解く」。

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