【W杯戦士の肖像】本田が語っていた「『絵』について」。ロシアで最高の1枚を描け!

日本代表の本田圭佑 写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

 10代から語ってきた「早く頭が回転しているときは、どんどん次の絵が浮かんでくる」。

[W杯 GL1節] 日本 – コロンビア/2018年6月19日午後3時(日本時間午後9時)/サランスク

 本田圭佑にとって、三度目のワールドカップになる。日本代表の中心的存在として、それだけ長い間、君臨してきた選手は他にいない。とはいえ、今大会、彼が置かれた状況は過去2大会とは異なる。

 コロンビア戦はベンチスタートが濃厚であり、チームでの戦力としても絶対的とは言えない。そのなかで、どのような振る舞いを見せるのか。年長者の部類に入る32歳は、チームの勝利のために、これまでにない役割もまっとうできるのか。ピッチに立っていなくても、いかにして仲間たちとともに戦うのか。

 そして、もちろん戦況に応じて、必要とされるときは訪れるはずだ。フィジカルの強さは日本代表の中でもいまなお高く、前線でボールを収める能力は大迫と引けを取らない。ロングキックの強さと精度も、また彼にしかない武器である。

 2005年のワールドユース・オランダ大会(現・U-20ワールドカップ)、19歳の本田はU-20日本代表の一員として臨んだ。ボランチに負傷者が相次いだこともあり「あの左足の強力なキックは、世界大会でも生きると感じた」(当時の大熊清監督)と抜擢された。そして初戦のオランダ戦で先発に大抜擢される。

 しかし……ライアン・バベル(現・ベジクタシュ)らすでにA代表デビューを果たしている選手も数人出場するオランダに一方的に押し込まれ、本田はボールに触れることすらできず、64分に交代を告げられる。スコアは1-2ながら完敗。すると、その後の3試合、本田に出場機会が訪れることはなかった。

 世界のぶ厚く高い壁の前で、圧倒された。

 しかし本田は「現時点の実力はこんなもの」と受け止め、「世界との距離を知れた」とひのき舞台での64分をやはりポジティブに捉えていた。何より同世代のオランダのレベル――その壁の厚さと高さを実感できたことで、一つの目標=超えるべき地点も把握できたことを収穫と捉えていた。

 さらに、本田はこんな興味深いことを言っていた。

「良いプレーができているときは、『絵』が見えるんですよ。でも、それがなかなか見えてこなかった。というのは、余裕がないから」

 その後、20代になったから、彼に改めて『絵』について聞いたことがある。

――以前、良いプレーができているときは『絵』が見えるという話をしていた。その機会は増えてきているのか?

「早く頭が回転しているときは、どんどん次の絵が浮かんでくるし、ほぼミスをしない。ミスといっても、キックミスのみ。判断のミスはしない。そういうときは調子がいいですね」

――代表でもそういう場面はある?

「その絵っていうのは、一人では描けない部分も多い。所属クラブでも浮かぶのは数少ないし、すぐに集まって試合がある代表ではなおさら難しい。でも、全体のレベルが高いから、それは可能だと思うんです。だから、これからですね」

 世代別代表からA代表へ。その後、日本代表でも、理想的な『絵』を描き、ゴールを決めてきたことは何度かあったに違いない。

 ただし、最近はどうだろうか。

 その『絵』のイメージを共有し合うこと。確かにそれは、コンビネーションを重視する日本が勝つためには必要な要素だ。ハリルホジッチ前監督への批判とも捉えられる「服従するだけでは恥ずかしい」発言は、彼がそのように大切にしてきた「イメージ=絵」を描く発想を奪われての反発とも解釈できる(もちろん擁護できるような発言だったとは言えないが……)。

 2010年のカメルーン戦&デンマーク戦のゴール、2014年のコートジボワール戦での先制弾。本田には3大会連続ゴールという記録もかかる。

 この祭典で結果を残し、のし上がってきたのだ。また新たな衝撃を残してもらいたい。そして、今度は一人でも多くの人と描き切った、巨大で荘厳な『絵』を見せてもらいたい。ケイスケホンダの集大成として――。

取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI

Posted by 塚越始

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