【なでしこ】新潟13年目の”10番”上尾野辺が挑む新境地。中田英寿ばりのキラーパスは減ったが――

新潟で13年目を迎えた上尾野辺。新境地を切り拓く。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

今日、日テレ・ベレーザ戦で、思い切ってチャレンジ!

[なでしこリーグ杯 7節]アルビレックス新潟レディース – 日テレ・ベレーザ/2018年6月23日/新発田市五十公野公園陸上競技場

 なでしこリーグ中断期間に行われている国内主要女子タイトルの一つ、なでしこリーグカップは後半戦に突入した。新シーズン開幕から約3か月、チーム作りの手応えを掴み始めているチームは多く、その一つにアルビレクス新潟レディースが挙げられる。

 リーグカップ6節の浦和レッズレディース戦、新たな変化が感じ取れた。開始7分に失点したものの、4分後、上尾野辺めぐみのパスを右MF園田瑞貴が合わせて同点とする。さらに後半に入ると51、58分と立て続けにゴールを奪い、一気に流れを手繰り寄せた。

 しかし3分後にオウンゴール、74分に同点弾を決められ3-3の痛み分けに。ただ、新潟にとっては、成功と失敗があったとはいえ、見応えのあるチャレンジの詰まった一戦となった。

「今は守備で力を示せるレベルにない。やられるかもしれないけど、より攻撃的にやろう」

 新潟Lの山崎真監督はそのような明確な意図を伝え、守備の要だった中村楓と攻撃の起点だった上尾野辺をボランチに据えた。

「守備は安心して(中村に)任せられるので、(奪った)瞬間に攻撃に移れるようにした」と上尾野辺は言う。彼女もゴールライン際で体を張って失点を防ぐ場面も見せた。とはいえ、そこからすぐ切り替えて、攻撃の組み立てが期待されての起用だ。

 中田英寿の代名詞となったキラーパスを放ちたい上尾野辺がそこまで後方にいては、やはり存在が霞んでしまう。それでも持ち味の運動量も生かし献身的にチームを支えようとする、そんな恐るべき32歳の姿があった。

「FWで得点王を狙う能力がある」と山崎監督も認める上尾野辺を、あえてリンクマンの位置に下げることで、中盤のバランスは保てた。加えて上尾野辺のパスを受けた園田のカットインからのゴールのように、前線に躍動感が生まれたのも好材料だ。

「理不尽なこと(起用)もあると思うんです」と山崎監督は選手を慮りながらも、それぞれに新たなバランスの中でのタスクを担わせる。2部時代から新潟で戦い13年目を迎える上尾野辺も「我慢の時期」と腹を括っているが、次第にワンタッチ、ツータッチという狙っているシンプルなつなぎからの効果的な展開も増えている。

アルビレックス新潟レディースの上尾野辺めぐみ。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

 何より開幕当初はハイプレッシャーを受けるとバタつき、流れを手放してしまうパターンが多かったチームが、意欲的に多くのチャレンジにより、積極性が増し、以前のような脆さが減った。後半に一気にギアを上げて突き放す――。追いつかれるまでに見せたメリハリは、まさに描いていた理想の展開だった。

 A、B両グループの1位が決勝を争うリーグカップで、新潟は現在Aグループの3位で、首位通過は厳しい状況にある。今日23日は首位の日テレ・ベレーザと対決する。リーグ戦では1-3で負けている相手だ。機敏に動き回るベレーザの中盤5枚をどのように封じ、堅い守備を攻略するのか。まさにチャレンジにうってつけの相手。チームとして、個として、成長の度合いを知る絶好の機会になるはずだ。

取材・文:早草紀子
text by Noriko HAYAKUSA

Posted by 早草紀子

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