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【W杯秘話】「予感していた」酒井宣福が兄・高徳の日本代表引退について明かす

大宮アルディージャの酒井宣福。(C)SAKANOWA

大宮の右SBとしてフル出場。「少なからず気合が入っていた」という千葉戦で2アシスト!

[J2 22節] 千葉 1-3 大宮/2018年7月7日/フクダ電子アリーナ

 大宮アルディージャの右サイドバック酒井宣福が2アシストを記録し、ジェフユナイテッド千葉に3-1の逆転勝利を収める立役者となった。

「自分のところで攻撃時にフリーになれたので、シンプルにクロスを入れていこうと思っていました。僕からたくさんのチャンスを作れたのも味方のお陰。アグレッシブにプレーできて勝てたことで、僕にとっても、チームにとっても自信になりました」

 そのようにフル出場を果たした酒井は語り、胸を張った。大宮は7試合負けなしで暫定7位に浮上。J1昇格争いに食い込んできた。

 酒井宣福の兄はFIFAワールドカップ(W杯)・ロシア大会の日本代表メンバーとしてベスト16入りを果たした同じくサイドバックを主戦場とする高徳だ。酒井は92年生まれ(現25歳)、高徳は91年生まれ(現27歳)と年子にあたる。

 酒井によると、高徳の日本代表引退は、「直接はっきりと本人から聞いてはいないが、その言動から(代表引退は)薄々感じていた。予感はしていた」そうだ。

 その決断について、酒井は同じプロとして理解を示す。

「僕らの想像を超えるものを背負って戦っていた。知ることのない、けっこうキツイことも多々あったと思うし、その意思は尊重したいです。プロフェッショナルですから。彼には彼の意見があり、決めるのは彼自身です」

 酒井はむしろその兄の決断を、自身の糧にしようとしていた。

「もちろん(高徳が)代表で輝いているのを見られると嬉しくもあり、刺激にもなりました。彼が代表から一歩退くということで、僕ともう一人の弟(高聖=現・リューネブルクSKハンザ、元・アルビレックス新潟、福島ユナイテッド)と一緒にもっともっと頑張って、『下も頑張っているな』という姿を示していきたい。残念だと思うと同時に、僕らがやってやらなければという想いも強くなっています」

 そのように、これまでとは異なる対抗心が芽生えたことを明かす。何よりこの日の2アシストも、酒井にとっては、兄の引退宣言が影響したと言う。

「少なからず気合は入っていました。(相手に)負けたくない気持ちを示せて、それはちょっとした自分の中の変化。(ブンデスリーガ2部での戦いを迎える高徳とともに)お互いにしんどい戦いの中で、頑張っていこうという想いもあります」

 新潟出身の酒井4兄弟は、一番上の兄・高喜が柔道家。そして高徳、酒井、高聖が、いずれもプロサッカー選手。「兄(高徳)も忙しいようなので……」と、全員揃えるかどうかは未定だ。

 ただ、そんな兄に”やってやるぞ!”というメッセージを届けるかのような、酒井の「活躍ぶり=2アシスト」となった。

取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI

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