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「感謝しかない」移籍に揺れたH・ヴィエイラがサポーターに捧ぐ2発

横浜F・マリノスのウーゴ・ヴィエイラ。(C)SAKANOWA

横浜ダービーで途中出場から逆転勝利に導く。

[天皇杯 3回戦] 横浜FM 2延長 1 横浜FC/2018年7月11日/ニッパツ三ッ沢球技場

 後半途中から出場した横浜FMのウーゴ・ヴィエイラが、渾身の2ゴールで横浜ダービーでの逆転勝利をもたらした。

「特別な試合だった。そのなかで、落ち着いて決めることができた。GKの位置を見て、上手く押し込めたよ」

 先制点を奪われたあとに交代出場。するとすぐさま74分、扇原貴宏の左サイドからのクロスにヘッドで叩き込んだ。ゴールを奪ったときはそのように「冷静だった」と言うが、トリコロールの7番は思い切り拳を突き上げ、サポーターとともに全身で喜びを爆発させた。

 この中断期間、ウーゴ・ヴィエイラの移籍話が浮上した。キプロスの地元紙が名門アポエルと契約交渉を行っていると報じ、スポーツサイト『SPORTS 24』ではキプロスの他クラブやギリシャのクラブからもオファーがあったと伝えられた。

 ただ、彼は横浜に戻ってきた。

 そしてワールドカップの中断期間を挟んで迎えた再開の一戦、決意の伝わってくる「綺麗なゴール。タカ(扇原)がとても高くていいボールを蹴ってくれたよ」というファインゴールを叩き込んだ。

 ポステコグルー監督は「久々のゲームだったこともあり全体的に前半はテンポが良くなかった。後半から徐々にスピーディになっていけた」と語るように、試合が経過するごとに、主導権を握る時間は増した(終盤はヒヤヒヤだったが)。そしてパスが回って相手に疲労が出てきたなか、延長前半、横浜FMがPKを獲得。これをウーゴ・ヴィエイラが一旦GKに弾かれたものの、自身が弾かれたボールを押し込み、この日2点目――決勝点を奪った。

「得点の嗅覚はまだまだ、ここから冴えていく。何よりサポーターには、感謝の気持ちしかないよ。また、熱い応援で奮い立たせてほしい」

 ウーゴ・ヴィエイラは笑って再びたくわえていた髭を揺らし、「ドウモアリガトウ」と感謝した。カズの先発出場など話題豊富だった6年ぶりの横浜ダービー。チームを勝利に導いた真の主役は、ウーゴ・ヴィエイラだった。

取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI

 

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