【ロシアW杯 検証】クロアチアと日本代表、パス精度の差は?

初戦コロンビア戦に臨んだ日本代表イレブン。写真:新井賢一/(C)Kenichi ARAI

前線のプレッシングとともに利いたショートパス。一方、ロングキックの成功率に開き。

 FIFAワールドカップ(W杯)ロシア大会、日本代表と初の決勝進出を果たしたクロアチア代表のパスデータを検証した。クロアチアは決勝トーナメントで延長120分間を3度戦っているため、1試合の平均値はあまり参考にならないため除外。もちろん120分戦うともなればあらゆる精度が落ちてしまうのは無理もないが、それでもパス成功率から日本の課題も見えてきそうだ。

 日本、クロアチアともに、基本システムは4-2-3-1。日本はコロンビア戦で相手に退場者が出た6分意向に数的優位だったこと、またポーランド戦の終盤10分間のパス回しによりショートパスの成功率が高くなっている面がある。一方、クロアチアは延長戦を三度戦っているため、オープンな展開(スペースが空いた展開)になった点も考慮したい。

 日本とクロアチアのパスデータを比較してみると、日本の今後のテーマが浮かび上がってくる。両チームのデータは次の通り。

          日本  クロアチア
▽サマリー
出場試合    4  6
プレー時間  381分43秒 679分36秒
得点      6  12
アシスト    5  8
シュート    42  100
枠内シュート  15  50
ボール支配率  52% 55%

▽パス
総パス数    2024本  3358本
パス成功      1719本  2755本
パス成功率   85%      82%

ショートパス数
  555本    805本
ショートパス成功  487本    664本
ショートパス成功率  88%      82%

ミドルパス数  1215本  2013本
ミドルパス成功     1087本  1751本
ミドルパス成功率   89%       87%

ロングパス数  254本   540本
ロングパス成功     145本     340本
ロングパス成功率   57%        63%

前方へのパス数
  637本    1039本
ロングパス成功    444本    690本
ロングパス成功率  70%         66%

バックパス数
   354本    530本
バックパス成功     347本    506本
バックパス成功率  98%          95%

GKからのキック数 26本    56本
バックパス成功      13本   35本
バックパス成功率   50%         62%
※ショートパス=15メートル以内 ミドルパス=15~30メートル ロングパス=30メートル以上

 試合数とプレー時間が異なるなかで「成功率」を比較すると、ショート、ミドルパスは、あまり差が出ていない。日本のショートパスは非常に精度が高い。ミドルパスの成功率も日本が89パーセント、クロアチアが87パーセントとやや上回り、そこに日本の躍進の要因も感じられる。

 しかしロングパスは、日本の57パーセントに対しクロアチアが63パーセントと、一回り差がついている。また、ゴールキーパー(GK)からのキックでも日本の50パーセント、クロアチアの62パーセントと、12ポイントの開きがあった。

 日本がワールドカップでもショートパス、ミドルパスを武器にしていけるという感触を掴めた大会になった。一方、2002年、2010年に続いて阻まれた「ベスト16の壁」を越えるには、ロングパスをもう少し使いこなすことがテーマになるか。

 クロアチアがこのトーナメントをしっかり”勝ち上がっている”のは、ルカ・モドリッチらがそんな勝負のパスを武器に持っていることが挙げられる。

 もちろん今大会、日本は引きすぎず前線の4人から組織的なプレッシングを掛けることで、そのショートパスを一段と武器として生かせた。一方、どちらかというとロングキックをできるだけ回避していたようにも見えた。ラウンド16でベルギーに2点リードしながら逆転を許した敗因の一つにも、ロングパスを有効活用し、効果的なカウンターを繰り出せなかったことが挙げられる。パスの受け手のレベルも関係してくるが、ロングレンジのキックも選択肢の一つに加えていく。壁を超えるには、そういった細部まで突き詰めていきたい。

文:サカノワ編集グループ

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