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【松本】歓喜のなか前田大然だけが肩を落とした理由――今日再出発だ!

松本山雅FCの前田大然 (C)SAKANOWA

「それ(ハードワーク)は持ち味なので、プラス攻撃面で何ができるかが僕の課題だから…」 

[J2 26節] 松本 – 甲府/2018年7月29日18:00/松本(アルウィン)

 数的不利になりながら大逆転勝利を収めた25節の大宮アルディージャ戦後、歓喜に沸き立つなかで松本山雅FCのFW前田大然だけが浮かない表情だった。

「素直に喜べないです。後半から代わってしまったので……それは悔しいです。けれど、チームが勝てたことは本当に良かったと思います」

 前田に笑顔はなかった。16節から21節までの6試合で4ゴールと活躍したが、最近4試合はノーゴール。この日は中美慶哉の前半早々の退場処分もあり、バランスをとるため、前線の前田はハーフタイムでの交代を余儀なくされた。

 それでも前半の45分間、シャドーに入った前田はプレッシングを怠らず、敵陣を抉るようなアタックを連発。とりわけ同サイドにいたマテウスとの主導権争いは見応えがあり、それぞれボールを持てばゴール前まで持ち運んでチャンスを作った(大宮の先制点はマテウスが逆サイドにポジションを移したときに生まれた)。その前田の鋭い動きが、大宮にジワジワとボディブローのようにダメージを与えたことも、大逆転勝利をもたらす要因の一つに挙げられた。

「でも、今日は何もやっていないので……特に言うことはないです。(ハードワークは効果的だったと思うが?)それを1試合通してやりたかったですが……」

 ハードワークでのチームへの貢献を、前田自身は”当然”と考える。チームで求められているのはその先の”結果”だと――。

「それ(ハードワーク)は持ち味なので、プラス攻撃面で何ができるかが僕の課題。もっと決定的なチャンスを作っていかないといけない」

 昇格争いのライバルとなる大宮戦で、その課題を改めて突き付けられただけに、前田は悔しさを噛み締めていたのだ。

 もちろん、逆転勝利は嬉しい。まさにチーム一丸で掴んだ1勝だった。「1位にいるということは、そういう強さがあるから。(交代になったが)逆転できるのではないかとは感じていた」と言う。

 チームは6試合負けなし、2連勝でホームのアルウィンに戻ってきた。スカッとしたゴールを決められるかーー。前田にとって、今日29日のヴァンフォーレ甲府戦(当日券は発売中)は再びキッカケを掴むための大切な一戦になる。

取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI

 

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