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「圧が凄かった…」古巣・浦和のホーム埼スタで長崎GK徳重が奮闘の無失点

V・ファーレン長崎のイレブン。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

11人対数万人と戦っているようだった――。

[J1 20節] 浦和0-0長崎/2018年8月5日/埼玉スタジアム2002

 V・ファーレン長崎のゲームキャプテンを務めた新加入DFヨルディ・ヴァイスが試合開始時のトスで、陣地を入れ替えた。そのため長崎のGK徳重健太は前半、北ゴール裏を埋めた浦和レッズサポーターを背負う形でプレーすることになった。

「圧がすごかったです。11人対11人という感じがしなかった。11対数万人のような感じでした」

 徳重はそのように振り返る。しかし背中から響くある意味歓迎の意味も込められた強烈なブーイングをむしろ力に変えて、序盤、立て続けにビッグセーブでピンチをしのいだ。

「あのシーンは必死でした。簡単な試合ではないとずっと思っていたので、先に失点してしまうと難しくなっていましたから」

 主将として全日本ユースと全国選手権を制覇した国見高校から2002年に浦和レッズへ加入。しかし代表クラスの都築龍太、山岸範宏の壁に阻まれ、なかなか出場機会を得られない。2年半在籍したあと、C大阪に期限付き移籍。2005年に復帰したが、半年後に再び神戸へレンタル移籍し、09年に完全移籍へと切り替わる。神戸でも欠かせぬ存在となっていたが、今季、故郷の長崎でのプレーを選択した。

 新シーズンは5節から全試合でリーグ戦フル出場中。高木監督は、ビッグセーブを連発しても「結果=勝点」を残せずにいる徳重のことを慮ってきたそうで、今回の古巣・浦和戦での「勝点1」獲得をたたえていた。

「感謝の気持ちを持ちつつ、勝ちたかったですね……。(浦和は)なかなかボールを失わず、ボールを持たれると簡単に取らせてくれない怖さがずっとありました。(高木監督の評価を聞いて)そう言ってもらえて嬉しいですが、次に向かってまた気持ちを引き締めて臨みたいです」

 プロ生活17年目を迎える徳重は悔しそうではあったが納得の笑みを浮かべた。貴重な1日であり、大きな勝点1になった。

取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI

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