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【磐田】浦和に大敗…大久保嘉人が指摘したサイド活用の問題点

写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

試合中、味方に怒る場面も。「ここからです、大丈夫」

[J1 22節] 浦和 4-0 磐田/2018年8月15日/埼玉スタジアム2002

 ジュビロ磐田のFW大久保嘉人は浦和レッズ戦、2点リードされた66分から途中出場したものの得点できず、チームはさらに2点を奪われて完敗を喫した。

 試合中、左サイドでボールを受けた大久保がラインを押し上げずにいる逆サイドに「ここで押し上げないと」と怒りながら指摘する場面があった。チーム全体がどこか意思統一を欠いている、そんな現状を物語るシーンでもあった。

 川崎フロンターレから出場機会を求めて今夏に電撃加入した。だが、ワールドカップの中断明けからこれまでリーグ6試合無得点と、待望の新天地初ゴールが生まれずにいる。

 ただ試合後の大久保は「徐々に。ここからですよ」と語り、冷静にチームの課題を挙げていった。

「中央で縦にパスを入れず、最初の選択肢がサイドになってしまっている。それだと相手もハメやすいんです。相手がマークを掴めたままパスを回している状況が続いてしまっている」

 試合がなかなか動かない、攻撃が停滞している……その要因を分析。さらに大久保は続ける。

「最初に中にパスを当てて締めさせて、サイドを使う。そうすると、浦和であっても間(スペース)が空いてくる。しかし最初からサイドチェンジばかりしていては空かない。そこができていない。そういった一つひとつが、ここから大事になるのかなと思います」

 まず、ゴールへの最短での崩しを狙う。それでこそサイドの活性化にもつながると主張する。

 確かに磐田の既存選手には、左ウイングのアダイウトン(現在負傷中)の爆発的なスピードを生かし、彼を背後のスペースに走らせ突破口を切り開いてきた成功体験の感覚が浸透しているのかもしれない。そのために、「まずサイドへ」という選択肢が自然と優先されてしまう。それがずっと続き、大久保の指摘するように、なんとなくサイド優先――というスタンスになっているように感じられる。

 もちろんサイドアタックは磐田の一つの武器。それを徹底して貫くのも一案だ。しかし、それを活かし切れていない現状が最近9試合で1勝しか挙げられずにいる結果にも表れている。

「切り替えていくしかない。まだ12試合ある。このまま終わらないですから。大丈夫です。大丈夫ですよ」

 大久保はそのように自分自身にも言い聞かせるように強く語った。間もなく中村俊輔も復帰する予定だ。技巧派のタレントが揃うだけに、彼らが大久保のストロングポイントを引き出すことが、再浮上への条件にもなる。ゴールへの道筋を増やすことは、磐田の大きなテーマだ。その突破口を切り開くためにも――大久保がゴールを決め、サックスブルーのサポーターとともに歓喜の咆哮を挙げる瞬間が待ち望まれる。

取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI

Posted by 塚越始

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