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「まさにタケがいたからこそ」横浜FMチームメイトが語る久保建英の加入効果

天皇杯の仙台戦で新天地デビューを果たした横浜FMの久保建英。(C)SAKANOWA

 喜田は「パスをどんどんつければ特長が出る」。

[天皇杯 4回戦] 横浜FM 2-3 仙台/2018年8月22日/ニッパツ三ツ沢球技場

 FC東京から横浜F・マリノスに期限付き移籍したU-19日本代表にも選ばれる17歳のMF久保建英が、天皇杯のベガルタ仙台戦で公式戦デビューを果たした。

 まだ合流から日が浅く、横浜FMのチームメイトも今回の実戦を通じて、それぞれを理解し合う密度の濃い貴重な時間になった。

 ボランチで久保をサポートしながら攻撃にも加わっていった喜田拓也は、「彼の特長を引き出すこと」を心掛けたという。

「特長を引き出すことをまず考えていました。それは最終ラインのチアゴを含めて。タケ(久保)に多くを背負わせず、良さを出すことに集中させてあげたかった。賢いポジションと言うのでしょうか、相手の2列目の後ろをふらふらしていてほしいとは伝えていました。相手の選手に少し気にさせるようにと。タケはどんどんパスをつければ特長が出る選手。パスの出しどころとして、コミュニケーションを取ってその数を増やしていきたい」

 その積極性は一つの武器になる。そう手応えを得ていた。

 また3-4-2-1のシャドーでコンビを組んだ仲川輝人は、「いい形で、いいポジショニングをとろうと周りを見ながらやっていたが、個人的には楽しくできた」と、負けた中でも手応えを掴んでいた。久保がパスを散らしながら時に揺さぶり、仲川が縦にドリブルで仕掛けるなど変化をつける、という関係を試合の中で築き上げていった。

「(久保とは)今日初めての試合でしたけれど、自分のことをよく見てくれていました。自分もタケのことを見ながら、崩しからのワンツーも何度かありました。お互いに良い関係を築けていますし、互いを見るようにできていたので良かったと思います」

 久保との意思の疎通も徐々にできていったと言う。

「一瞬目を合わせ、そのあとすぐウーゴ(ヴィエイラ)の動きを見たので、来るかな?という想いで走り出したら、良いパスが来た。結果的に(ファウルをもらい)FKになってしまったけれど、まさにタケがいてこそのプレー。自分もそういうパスを受けるのが好きなので、増やしていきたいです」

 試合には負けたが、後半はほとんどの時間帯、試合を支配した(それでも勝てずにいるのが課題ではあるが)。その中で喜田も「攻撃のバリエーションは間違いなく増えていた」と、これまでにない感触も得た。そこには確かに「久保効果」があった。

 公式戦3連敗、最近1勝6敗。試行錯誤をするなかで結果を残せずにいる。それでも、もがく中でこそ掴める確かな何かがすぐそこにあるはず。久保のデビュー戦は、その前触れを感じさせた。

取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI

Posted by 塚越始

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