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幻の森保ジャパン初ゴール。佐々木翔が吐露した本音「あちゃーオウンゴールに…」

会場では一度、佐々木のゴールとアナウンスされたが……。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

さっそく左サイドの「4番」として印象付ける。

[キリンチャレンジカップ] 日本 3-0 コスタリカ/2018年9月11日/パナソニックスタジアム吹田

 先日のコスタリカ戦で日本代表デビューを果たした佐々木翔は、左サイドバックとして78分までプレー。先制点をもたらすヘディングシュートを放ったが、相手の頭に当たってボールの方向が変わっていたため記録はオウンゴールに。幻の森保ジャパン初ゴールとなってしまった。

 セットプレーでの競り合い(空中戦)の強さに定評があり、その強みを発揮してみせた。16分、中島の放った右コーナーキックに、まさにドンピシャのタイミングで――日本の背番号「4」がジャンプヘッドを合わせた。

 するとボールはゴールネットを揺らし、これが記念すべき森保ジャパンの1点目に! スタジアムでも「佐々木翔選手のゴールで、SAMURAI BLUE、日本代表が先制!」とアナウンスされた。

 しかし、パナソニックスタジアム吹田のスコアボードには、なかなか得点者が表示されない。会場の電光掲示板では得点シーンがスロー再生され、佐々木のシュートがジャンプした相手選手の頭に当たって、ボールの方向が変わっていたことが映し出される。

 確かにオウンゴールと言われればそうだが、佐々木のシュートもしっかり枠に飛んでいたようだが……。すると公式記録として、「16分:OWN GOAL」の文字が表示された。

 佐々木は試合後、正直な胸の内を明かした。

「強くヒットできたので、自分の良さを出せたと思いました。ただ、『あ~~、オウンゴールになっちゃったよ!!』みたいな感じですかね……。まあ、仕方ないです」

 仕方ないと言いつつも、もう一度、彼は唇を噛んだ。

「いやぁ、なんとかならないですかね、今からでも」

 記録は変わらないだろうか……。彼は心の底から悔しそうに語った。

 2012年に神奈川大学からヴァンフォーレ甲府に進み、14年まで3年間プレーしたのち、森保一監督の率いていたサンフレッチェ広島に移籍。すぐさま15年に22試合に出場してリーグ優勝に貢献した。

 その後は二度の右ヒザ前十字靭帯損傷の重傷を乗り越えてきた。そして今季の広島でも開幕から4バックの左サイドバックにチャレンジし、25試合全試合先発、しかも24試合でフル出場中という「鉄人ぶり」も見せている。

 今回、森保一監督の下、28歳での代表デビューを果たした。3バック、4バックともにフレキシブにこなせるのは強みで、加えてさっそく武器でもあるセットプレーでの競り合いの強さも見せつけた。

「先発は試合当日に言われました。こうした状況の中で試合に出ることができることに感謝していますし、何より結果を残せたので良かったです」

 上下動を怠らず、ダイナミックなオーバーラップも披露。日本代表の左サイドで躍動する”「4番」佐々木”をさっそく印象付けた。この日のようなプレーを継続していけば、文句なしの日本代表初ゴールが生まれる日は、きっとそう遠くないはずだ。

取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI

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