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内田篤人が元セレソンMFパトとの「タイマン」に勝った天津との2試合

鹿島アントラーズの内田篤人。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

枠内シュートを体を張ってクリア…。エースを封じて無失点に抑え自身を深める。

[ACL 準々決勝②] 天津権健 0-3 鹿島/2018年9月18日/澳門 (マカオ)
※2試合トータル5-0で鹿島が準決勝・水原三星戦に進出

 鹿島アントラーズが1-0でリードして迎えた24分、GKクォン・スンテの弾いたボールをペナルティエリア外から天津権健の元ブラジル代表アタッカーのパトがダイレクトで狙う。鋭いシュートが枠内に飛ぶと、ゴールライン上でスライディングでを張りクリアしたのが鹿島のDF内田篤人だった。

「ゴールキーパーが出ていれば、空いたコースを狙ってくるから(優先するのは)そこを埋めること。それにパトであれば絶対に枠内に蹴ってくると思った」

 内田はそのようにクリアのシーンを振り返る。

 シュートが入っていればこの試合のスコアが1-1になっていた。ただ、このピンチをしのいだことで、27分、内田のマイナスのクロスから安部裕葵が2点目を奪い、試合の趨勢が決まった。

「簡単な相手ではなく、第1戦の2-0では差がないと思っていた。先制できて、2点目を決められたから、こうした展開(3-0)になった」と内田は振り返ったが、あのパトのシュートのクリアは、この試合(もしかすると今大会全体)の分岐点の一つに挙げられた。

 天津権健とのホームでの8月22日の第1戦、内田はパトとのマッチアップを再三繰り広げていた。そこで彼のプレーの特徴を把握していたことも、このビッグプレーにつながったと言っても過言ではない。

 内田は第1戦のあと、パトとの対決について次のように語っていた。

「ヨーロッパでも、あのような選手はたくさんいて、むしろもっと1対1で来ることがはっきりしていた。だから、久々のタイマン。そういう選手だなって雰囲気があり、ポジショニングもそうだった。対人に関しては、やられるシーンはなかった。(間合いの取り方は)Jリーグとは異なるから、ターンとかポイントに合わせて、取っている。あとは俺のコンディションが良くなっていることも大きい」

 パトとの“タイマン”を経て、彼が実直に挑んでくるタイプだと把握していた。加えて激しい攻防を経て、自身のコンディションに確かな手応えを掴むこともできた。そして第2戦でも、元ブラジル代表のエースに主導権を握らせず、枠内にシュートが「絶対に飛んでくる」と察知することにも成功した。

 2試合トータルスコアは5-0。モデスト騒動などもあったとはいえ、中国の強豪を無失点に抑えてみせた。

 そして準決勝の対戦相手はグループステージでも対戦した水原三星に決定。今度は手の内は知り尽くして合っている相手である。そして再び第1戦はホーム、第2戦はアウェーだ。

 180分を戦い切りいろんな面で自信を深めた内田が、決勝進出に向けて、さらなる難しいシチュエーションに体を張って挑む。鹿島が初めてアジアの頂点に立つために――。

文:サカノワ編集グループ

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