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残留争いに巻き込まれた磐田の中村俊輔が決意「自分の力を発揮するとき」

今季プロ22年目を迎える中村俊輔(写真はレッジーナ時代)。 写真:徳原隆元/C)Takamoto TOKUHARA

ケガからの復帰後、古巣の横浜FM戦で初のフル出場。

 ジュビロ磐田の中村俊輔が9月22日の横浜F・マリノス戦で、6月にいわゆるクリーニング手術を受けて以降、初めてフル出場を果たした。しかし古巣相手に1-2と敗れて降格圏の17位のガンバ大阪と勝点3差まで縮められた。それでも40歳になった司令塔は「むしろポジティブ。ここから自分の経験が必要になる」と前を向いた。

 中村はロシア・ワールドカップの中断期間に差し掛かる6月11日に右足関節前方インピンジメント症候群と滑膜炎により手術を受けた。全治6週間と診断されていたが、復帰がやや遅れ、9月1日の名古屋グランパス戦から徐々に出場時間を増やし、戦列に戻ってから3試合目の横浜FM戦でようやくフル出場を果たした。

 とはいえ、チーム状況は厳しい。

 今夏に大久保嘉人を獲得するなどテコ入れを図った磐田だが、W杯の中断以降の12試合でわずか2勝しか挙げられずにいる(2勝6分4敗)。最近も4試合勝ち星がない。

 27節を終えて順位は11位だが、総勝点は33。気付けば入れ替え戦枠の16位の柏レイソル、自動降格圏の17位のG大阪が3ポイント差の勝点30まで迫ってきている。

 中村も当然このピンチに、少なからず危機感を抱いている。

「下の順位も詰まってきている。ここからからは、どれだけチームとしてまとまり突き進めるかが大事になってくる。そこでこそ、自分の力を発揮しなければいけないとき」

 そのように司令塔は、チームをけん引すべく、頼もしい言葉を発した。実際、横浜FM戦でも相手を翻弄する大胆なサイドチェンジから、「いい形から決められた」と自賛する一時同点に追い付く川又堅碁のゴールの起点となった。

 ただ、ここからは自身のコンディションうんぬんではない。

 中村は覚悟を固めていた。

「今日(横浜FM戦)は負けてしまったけれど、ポジティブな気持ち。こういう苦しい、厳しいときこそ、自分の経験を発揮しないといけないときだから。下を向く必要はなく、自分たちの足元をしっかり見つめてやっていきたい」

 あとは俺に任せてくれ――そんな想いが伝わってくるコメントだ。

 残り7試合は手強い相手ばかり。ラスト4試合は、サンフレッチェ広島、北海道コンサドーレ札幌、FC東京、川崎フロンターレと強豪との対戦が続く。

 ここから、いったい何が起きるか分からない。磐田を再び引き上げる、そのドラマの中心に、中村俊輔はいる。シーズン最後、磐田の10番は満面に笑みを浮かべて迎えられるか――。

文:サカノワ編集グループ

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