J1昇格へ町田の問題はスタジアムより「専用の練習場がない」こと

FC町田ゼルビア 写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

クラブは「確保を目指し、努力を続けている」。

 現在J2首位を争うFC町田ゼルビアFCに、J1クラブライセンスが交付されなかった。もしかするとサプライズ的な申請がされているのでは? という期待の声も聞かれた。しかしやはり、現状のクラブの体制では認可されなかった。

 町田のホームスタジアムである町田市立陸上競技場が、1万5000人のJ1基準を満たしていないことが、最大の問題点だったかのように伝えられている。しかし、27日に行われた記者会見の内容を聞く限り、むしろ、専用のクラブハウスや練習場がない点のほうが問題視されていた。そこにこそ町田の問題が凝縮されていると言えた。

 町田市の石阪丈一市長は2020年度の1万5000人へのスタジアムの増席を市議会で公言している(2021年2月の完成目途)。京都サンガは新スタジアム建設を計画しており、J1クラブライセンス交付の「特例」が認められている。水戸ホーリーホックは笠松運動公園陸上競技場をJ1仕様に改修することを条件にJ1ライセンスを取得したのも一つ参考になる。町田も何かしらの方策を立てられれば、スタジアム問題について妥協策を見い出せた可能性はある(それでもJ2ライセンスを目指した秋田や鹿児島は過去認められなかった。また、町田市陸は駅からも遠隔にあり、しかも陸上競技場であるなど、多くの課題を抱えたスタジアムではあるが)。

 町田は2020年のJ1昇格を掲げてきた。もちろん、J2上位で戦えるチャンスはそう簡単にないのだから、今こそJ1昇格を目指すべきという意見が出るのは当然だ。一方、あくまでも2020年を見据え、各方面で準備を進めていき、チームが今季上位で戦うこともあくまで気運醸成の一環だと捉えることもできる。急いては事を仕損じるとも言え、強化が進んでも、運営や経営が追いつけずに一気にJ1まで駆け上がって失敗したクラブも少なくない。

 今回のクラブライセンス交付の記者会見で、「将来的にJ1・1万5000人、J2・1万人というスタジアム規模の見直しは考えていないのか」と質問したところ、Jリーグの青影宜典クラブライセンスマネージャーは「将来的にはもちろん分からない。ただスタジアムの規模のみで見るのではなく、私たちは財政的に運営できることを前提に、トータルで判断している」という説明だった。つまり、J1クラブライセンスを取得するために最も重視されるのは、J1レベルの体制と財政状況であるかどうかということだ。

 町田ゼルビアは今回のJ2クラブライセンス交付を受けて、公式ホームページで次のようにコメントを発表していた。

「クラブとしましては引き続き、1年でも早いJ1参戦を目標に活動し、多方面に働きかけて参ります。スタジアムに関しまして現在、町田市の協力を仰ぎ、町田市立陸上競技場を改修する計画が発表されております。

https://www.city.machida.tokyo.jp/bunka/sport/sport/sport/kankyakusekizouseki.html

 ただ、設備基準を満たしたクラブハウス、天然芝またはハイブリッド芝ピッチを1面以上有する専用の練習場に関しましては、クラブでの確保を目指し、努力を続けているところでございます。早期の解決を目指し、今後も関係各所と連携して参ります」

 専用のクラブハウスと練習場がない――。町田は市営の小野路グラウンドを利用しているが、基本的には一般にも開放されている施設である。スタジアムよりも、むしろそのほうが問題であり、現状、クラブライセンス交付に向けた最大のネックだ。

 町田に大型のスポンサー企業がつく可能性も報じられている。いずれにせよ、いかにして地域の人たちに必要とされるクラブチームになるか。数多くの有名選手を輩出してきた町田ならではの発想の詰まった「拠点作り」こそ、早急に進めたい。

取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI

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