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【ファインダー越しの世界】飛び込んできた土居聖真の‟戦う姿勢”

日本の左サイドを担当した土居(13番)。韓国の執拗なマークを跳ね返し、攻撃の突破口を開こうと前線に攻め上がる。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

 日韓戦は普段と比べ、半分ほどの枚数しかシャッターを切れず。

 試合後のセレモニーを除く90分間の撮影で言えば、日本対韓国の試合は通常の試合と比べて、半分ほどの枚数しかシャッターを切れなかった。理由は簡明だ。韓国ゴールの後ろでカメラを構えていたが、日本選手が攻め込んで来る場面が極端に少なかったからだ。

 日本の最終ラインからのパスでさえ、韓国選手の適格な読みと豊富な運動量によって遮断され、ロングキックからのハイボールもパワーでクリアされた。前線にボールが届いても、FWは素早いマークを受けてチャンスを作れない。これでは、絵になる日本の攻撃を撮影するのは難しい。

 そんな苦戦を強いられた日本にあって、目に留まったのが土居聖真だ。ゲームを支配し、日本を圧倒する韓国に対して、日本の背番号13番は攻撃の突破口を開こうと、果敢にドリブルで仕掛けていた。

 彼の“戦う姿勢”にシャッターを切っていて、あるエピソードを思い出した。それは15年の8月、土居のインタビューの撮影に行ったときのことだ。

 話がひと通り終わり雑談となったとき、彼は「サッカーってマジ、メンタルが大事」と何気なく口にした。その口調は特にメッセージ性を含むような強いものではなかった。本人も覚えていないかもしれない。だが、この言葉はサッカーの本質を突いていると思った。

 高いボールテクニック、強靭なフィジカルを備えていても、その力を発揮するには戦う意志のスイッチが必要になる。劣勢の状況となれば、なおさら戦う姿勢を奮い立たせる強いメンタルが重要で、その気持ちが勝敗を左右することになる。

  【次のページ】フェアに戦い打ち負かそうとする。熱き思いが伝わってきた。

Posted by 徳原 隆元

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