【女性初ミラ監督インタビュー#1】規模は似ている鈴鹿とアルバセテ。「数万人がサッカーを楽しむ」中からイニエスタは生まれた

鈴鹿のミラ監督は、神戸のアンドレス・イニエスタとも接点が――。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

「日本とスペイン」「女性とサッカー」をテーマに連載。

【インタビュー】ミラグロス・マルティネス(鈴鹿アンリミテッドFC監督)

 JFL(日本フットボールリーグ)の鈴鹿アンリテッドFCのミラグロス・マルティネス・ドミンゲス監督は、JリーグとJFLで史上初めて女性として監督を務める。クラブとしても初のJFLを戦う今季、彼女はチームとともに試行錯誤を繰り返しながら、持ち前の明るさと”本場”スペインでの指導者としての経験を生かして、日々勝利を追求している。

 ちょうど来日から半年が経つ。彼女に日本でのスペイン流のチーム作り、女性とサッカーなどをキーワードに話を聞き、自身の夢にも触れてもらった。3回の連載で紹介する。

(取材・写真・新垣博之 取材日:201961/文中の情報は取材時/編集・サカノワ編集グループ)

――通訳兼アシスタントコーチの小澤哲也さんとはスペイン時代からお知り合いだったのですか?

「彼とは鈴鹿に来てからです。ただ、彼はスペインの5部にあたるリーグでプレーしていた経験があるので、私が指導するうえで非常に助けになっています」

――鈴鹿アンリテッドFCの監督就任にあたり、スペインで活躍する日本人指導者・佐伯夕利子(※1 ビジャレアルCFスタッフ、スペインサッカー協会公認ナショナルライセンス監督、Jリーグ特任理事)さんとのコンタクトがあったと言われています。

「夕利子さんが指導していたビジャレアルの女子チームと、自分の指導していたアルバセテの女子チームのカテゴリーが一緒で、よく試合をしていたので、彼女とは仲も良かったです。何より指導者として、リスペクトしています」

(※1 佐伯友利子さん:2003年にスペイン3部のプエルタ・ボニータでスペイン史上初の男子トップチーム監督に就任した女性監督。その後もバレンシア、ビジャレアルなど、スペインで長く指導者、スタッフとして活躍中)

――アルバセテでは、選手、指導者、スタッフとして計12年を過ごされていますね。

「私が在籍していた頃は、男子トップチームが主にスペインリーグ2部でプレーしていて、なかなか1部に昇格できずにいましたが、とても多くのサポーターに支えられていました。大都市というほどではなく、規模としては鈴鹿の街と似ていました。ただ、そのなかで何万人もの選手が小さな頃からサッカーに励んでいます」

――3部だったアルバセテをクラブ史上初の1部へ昇格させたのが、ヴィッセル神戸を率いていたベニート・フローロ氏だったそうですね。

「フローロ監督は『スペインのサッカーを変えた』と言われるほどのレジェンドです。1部でも1年目に7位に大躍進させて、その後、レアル・マドリーの監督に引き抜かれたほどです。少し前まではカナダ代表を指揮されていましたね」

――アルバセテ出身と言えば、神戸のMFアンドレス・イニエスタ選手が有名です。先日、ミラ監督はイニエスタ選手とスペイン『マルカ』紙の取材を受けていらっしゃいましたね。

「懇意になっていた記者の皆さんがイニエスタ選手を取材するためにアルバセテから神戸に来ていて、『ミラのことも取材したい』と言ってくれて、対談の場をセッティングしてくれました。イニエスタ選手とは日本で会ったのが初めてで、1時間くらい話すことができました。とても貴重な経験になりました」

――すでにいくつもの日本との接点が見出すことができますね。現在、イニエスタ選手やフェルナンド・トーレス選手をはじめ、数多くのスペイン人のサッカー選手や指導者が来日しています。連絡を取り合うことはあるのですか?

「サガン鳥栖のフィジカルコーチをしていたイバニェス・マンセボとは友人で、連絡を取り合っていました。ただ、ルイス・カレーラス監督がクラブを去ることになり……。あとFC岐阜のGKヴィクトル選手やセレッソ大阪のミゲル・アンヘル・ロティーナ監督、徳島ヴォルティスのリカルド・ロドリゲス監督とはスペイン大使館で会ってお話をしました。

 それからイニエスタ選手が大阪で開校した子供たちのためのサッカースクールのディレクターに就任したファン・カルロス氏は、アルバセテ時代からの友人です。今度じっくり大阪まで見学に行こうと思っています」

――今回、鈴鹿の監督に就任するにあたり、昨年の試合映像も観られたと思います。正直、ミラ監督がやりたいサッカーとは違うところが多かったのでは?

「はい、昨季の試合映像をたくさんチェックしました。正直、自分がやりたいサッカーとは全然違うと感じました。守備を固めてシンプルに蹴るという、リスクを自分たちでは負わないサッカーだという印象を受けました。ただ、それは鈴鹿アンリミテッドのみならず、日本のこうしたカテゴリーで、特にそういうサッカーが多いと感じました」

――なるほど。

 ミラ監督の客観的な目から見えてくるプラス面と課題とは――。アマチュアでも一部を除くと、基本的にはカウンタースタイルがほとんど。次回はそんな日本でのチーム作りについて話を展開する。(#2 以降は後日更新)。

鈴鹿のミラ監督。写真:新垣博之/(C)Hiroyuki SHINGAKI

取材・文:新垣博之
text by Hiroyuki SHINGAKI

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