【浦和】新加入の荻原拓也が掴んだ1年前のチャンス。安藤瑞季の長崎総科附高とも対戦したプレミア参入戦が人生のターニングポイントに

浦和にはいないタイプだけに、荻原拓也にも1年目から公式戦出場のチャンスはありそうだ。(C)SAKANOWA

「1年前まで、まったく試合に出られずにいた」。内に秘めた負けん気の強さは宇賀神友弥と似ている。

「僕は稀なケースで、1年前までユースの試合にまったく出られずにいたんです」

 浦和ユースからトップチームに昇格した荻原拓也は、そのように切り出した。

「この1年間をとおして大きく成長できて、プロのスタートラインに立つことができました。非常に嬉しいです」

 ちょうど1年前だった。高校2年の12月、プレミアリーグ参入戦で初めてレギュラーとして2試合に先発し、そこから徐々に出場機会を増やしていった。初戦の帝京長岡戦では2ゴールに絡む活躍を見せ、4-0の大勝に導く。そして参入決定戦では、今冬の高校選手権を沸かせた安藤瑞季のいる長崎総合科学大附属高と対戦。2試合連続で4バックの左サイドバックとして先発し、1-0の完封勝利に貢献した。

 自身に訪れたチャンスをしっかり掴んだわけだが、評価を高めたのは、左足のキックの精度やセンスはもちろん、加えてチームのために厭わず発揮したハードワークやアップダウンをサイドで繰り返した高い献身性だった。

 浦和ユースに加わった当初は、レギュラー陣とのレベルの隔たりに衝撃を受けたという。それでも「最初はトップとの距離は感じたけれど、自分の立ち位置をしっかり知ったうえで、一つひとつ小さい目標をクリアすることで、近づいていけました」と、客観的に自分自身を見つめ、苦手な守備や右足のキックの改善に取り組んだ。

 好きな選手は、レアル・マドリーでプレーするブラジル代表のマルセロ。「プレースタイルは違うけれど、あの攻撃参加や前に向かうパワーは参考にしたい。左足のキックは武器でもあるので、どんどん磨いていきたいです」

 この1年間の急激な成長速度をそのままプロにも持ち込み、出場機会を得たい。「21歳以下起用ルール」があるルヴァンカップでは、十分チャンスがありそうだ。

 何よりユースの中でも瞬発力は抜けていて、縦に仕掛けるスピードに乗ったドリブルは鋭利だった。浦和の左サイドバックは、槙野智章や宇賀神友弥らと主力の座を争うことになる。ただ攻撃的なサイドバックは、浦和にはいないタイプだ。

「いつチャンスが来るか分からないので、その機会が来たときに、しっかり掴めるように頑張りたいです」と抱負を語る。そのためにも、これからの2度の沖縄でのキャンプでは、「自分にしかできないサイドの突破力を発揮して、まず、しっかり自分の立ち位置を知りたい」。 

 プレースタイルも性格も風貌も異なるものの、内に秘めた負けん気の強さは、同じユース出身であり左サイドを主戦場にしてきた宇賀神と似ているように感じる。ユースで貫いてきた最後まで諦めないそのスタンスで、浦和の新たなユニフォームを着て左サイドを疾走する姿を一日も早く見せてもらいたい。

取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI

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