【浦和】「34」との決別―山田直輝が当初「戸惑った」湘南の3年間でどのように這い上がってきたのか

「チームを勝たせるためのプレーを見せる」と、山田は決意を示した。(C)SAKANOWA

「甘ちゃんだった」発言の真意とは。

 山田直輝が湘南ベルマーレに移籍した2015年、シーズン開幕直後にインタビュー取材をさせてもらった。期待のニューカマーとして。

 ところが、彼は困惑していた。湘南の間断ない攻守の切り替えのテンポに合わせられずにいた。

「なかなかスピードについていけなくって……。正直、戸惑っています」

 狭いスペースに顔を出してボールをさばき、素早く前線の攻撃に加わる。その小柄な体から放熱されるダイナミックなプレーは、曺貴裁監督の、J1復帰を果たした湘南の新たな武器になるはずだった。

 レンタル移籍とはいえ、浦和レッズとの対戦での出場が可能という珍しい契約形態だった。浦和との試合に出たいという以上に、「その1試合を休むだけで、チャンスを失ってしまうかもしれない。レッズとの試合に出たいという以上に、その気持ちのほうが強かった」。

 そう決意して乗り込んだ新天地。しかし、2014年にJ2で驚異の快進撃を遂げる間に連係を高めたレギュラー陣になかなか割って入れなかった。

「自分が浦和に戻れるとすれば、トップフォームに近づけたときだと思っていた。でも湘南での1年目は、ほとんどチームに貢献できませんでした」

 1年目は途中出場が多かったが17試合に出場。永木亮太、遠藤航ら主力が相次ぎ退団した湘南から、レンタル延長のオファーが届き、山田は受諾した。湘南に貢献したい気持ちが、彼の中で膨らんでいた。

「1年半ほど経ち、やっとパフォーマンスを発揮できてきて、そこからまた成長させてもらいました」

 チームのJ2降格が決まるなか、山田は悔しさを噛み締める一方で、吹っ切れたように思い切りの良いプレーを見せていった。

 そして、もう1年、レンタルを延長。昨季は、湘南の2列目のレギュラーの座についた。

 2017年、あの戸惑っていた山田直輝は、過去のものとなっていた。

 湘南の攻撃を牽引した。ボールが山田を経由することで、仕掛けるスピードと鋭さが増した。昨季は39試合・5得点。今度はJ1昇格に大きく貢献。その中心には、紛れもなく山田がいた。

 今回、浦和への復帰を決断した。そこで山田に聞いてみた。3年前、湘南のサッカーに困惑していた自分自身を振り返ってみるとどう思うかー―。

 山田は少し苦笑いを浮かべて答えた。

「あのとき、甘ちゃんでした。その当時は100パーセント、サッカーに向き合っていたつもりでしたけれど、それが100パーセントではなかったんだなと、今になって気付かされました。遅いようだけど、まだ27歳。これが100ではなく、もっと上があるはずだから、それを追い求めてやっていきます」

【次ページ】「そうすれば湘南のサポーターの皆さんから『あいつは成長したな』と思ってもらえるかなって」

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