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「一瞬のミスが許されない対決」見応えあったイバと飯田真輝の緊張感漲るバトルの行方

飯田真輝(2017年シーズン)写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

「特に左足で持たれたとき、フリーで打たれたら決められてしまうのではないかという恐怖が常にあった」

[J2 1節] 横浜FC 0-0 松本山雅/2018年2月25日/ニッパツ

 スコアレスドローに終わったものの、90分間、スリリングな展開が続いた。しかも両チームとも1本ずつポストを叩くシュートを放つなど、まさに紙一重の攻防で、それぞれ勝点1ずつ掴んだ。

 熾烈な球際の争いを繰り広げるなか、見応えあるマッチアップを見せたのが、昨季25ゴールでJ2得点王になった横浜FCのFWイバ対松本山雅FCの守備の要である飯田真輝。反町康治監督も「ウチがいくら良いリズムでいても、相手の10番(イバ)があっさりと打ち消す。そういった能力の高いFW相手に難しさが絶えずあったので、無失点に抑えたことを評価したい」と振り返っていた。

 ここでイバが抜いたら、前を向いたら1点になる……。そんな一瞬のミスが命取りになりかねない状況下、飯田は1対1の駆け引きで冷静に力強く対応。守備陣との連係を保って、最後まで松本ゴールを守り切った。

 ノルウェー国籍の190センチの大型ストライカー・イバとの対決を無失点で終えた飯田は、安堵するとともに確かな手応えを得ていた。

「一瞬のミスが許されない対決でした。(イバは)すごく良い選手で、隙を一切見せられないし、特に左足で持たれたときは、フリーで打たれたら決められてしまうのではないかという恐怖が常にありました。それでも一人で抑えきるのは難しいけれど、カバーをしてもらいながら対応できれば大丈夫だと思っていました」

 前半45分間で二度、ヒヤリとした場面があった。そこをチームで凌ぎきったことで、いけると思えたという。

「気にしたのは、前半の2回。ペナ(ペナルティエリア)の中で、(イバに)ゴールを背負って、後ろ向きですけれど足元にボールが持たれてしまって、そこに野村選手や2列目の選手が絡んできたら危ないなと思いました。そういう形には後半させないようにと確認し合い、実行できた。それが90分間、無失点に抑えられた要因に挙げられます」

 3バックの中心のリベロでチームを統率した飯田。そのようにイバとの駆け引きを制したこととその相乗効果について語り、自身も確かな”好感触”を得ていた。

「(イバは)昨年の得点王ですからね。自分としても、これからJ2を戦っていくうえで、いろいろなタイプがいますけれど、能力の高いトップの選手をまずゼロに抑えられたことで、ひとつ手応えを得られました」

 187センチの闘志溢れるディフェンダーは、勝てなかった悔しさはもちろんあるが、ホッとするとともに納得の表情を浮かべていた。1週間後の3月3日、アウェーでアルビレックス新潟と対戦する。

 全力と魂を込めて戦う90分間。そのために最高の準備を整えるサイクルが再び訪れた。

 まず飯田がしっかりと2018シーズンの第一歩を踏み出した。

取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI

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