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明かされた北朝鮮女子サッカーの育成システム。日本よりも根付いている?

後半、北朝鮮のプレッシャーに苦しみ、日本は主導権を握り返されてしまった。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

「女子サッカーは大衆化されていて、広く国民の間で楽しまれている」

[東アジアE-1選手権]日本0-2北朝鮮/2017年12月15日/千葉市蘇我球技場(フクダ電子アリーナ)

 東アジアE-1選手権で3連覇を達成した北朝鮮のキム・グァンミン監督が日本戦後の記者会見で、同国の女子サッカーの育成システムについて話をした。それは興味深く、日本以上に、女子サッカーが根付いていることも感じさせた。

「テクニックの高い選手が多い日本に対し、強いメンタルと強いチームワークで臨んだ。立ち上がりは若い選手が多いためか思ったように試合を勧められなかったものの、修正して臨んだ後半はペースを握れて勝つことができた」

 そのようにキム・グァンミン監督は試合を振り返った。2016年に同国はU-20とU-17ワールドカップのふたつの大会で優勝していて、当時のU-20代表メンバーが主体となって来日していた。今回のメンバーの平均年齢は21歳。最年少は16歳だった。次々と優秀なタレントを輩出する北朝鮮女子代表の育成システムについて、指揮官は次のように説明した。

「我が国での女子サッカーは非常に大衆化されていて、広く国民の間で楽しまれています。なので、すべての選手たちが幼い頃からいつかは代表チームに入りたいと希望を持って、一生懸命に練習に励んでいます。またサッカー選手を志す子どもたちのための青少年体育学校でサッカー教育を施しています。さらに青少年のためのクラブチームも数多くあります。そういった体育学校とクラブチームによる育成体系が整っています」

 学校とクラブチームが育成の柱である点は、日本と共通する。ただ、サッカーが女子の間で一般的に広くプレーされ、裾野が広いという話は新たな発見と言えた。

「そういったなかで、高いモチベーションをもって、より上を目指す選手たちが育ってきています。彼女たちの志は非常に高いので、強度の高い練習にも懸命に取り組んでいます。こういった体系的な育成システムがあることが、良い選手が途切れることなく次から次へと育っている背景にあるのではないかと思っています」

 2011年のFIFAワールドカップ・ドイツ大会で5人にステロイド(筋肉増強剤)の陽性反応が出て、15年のカナダ大会は同国の参加が認められなかった。その影響で19年のワールドカップ・フランス大会予選には1次から臨んだが、韓国に1位の座を譲りすでに敗退が決定している。

 となると、北朝鮮が全力をかけて次に臨んでくるのが、2020年の東京五輪だ。3年後、今回のメンバー主体のチームと再び日本で激突することは十分に考えられる。

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取材・文:塚越 始

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