「なでしこJ←→浦和L」25歳のGK池田咲紀子に今年訪れた好循環

皇后杯は惜しくも準決勝敗退。しかし浦和Lの池田咲紀子にとって、大きく成長を遂げた1年になった。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

なでしこジャパンの守護神の座に近づく。これからのテーマは「リスクマネジメントの引き出しを増やすこと」。

 今シーズンを締めくくる浦和レッズレディースの皇后杯を懸けた戦いは、準決勝で終わりを告げた。日テレベレーザに1-2で敗退。試合終了のホイッスルが吹かれると同時に、悔しさを噛み締めていたのが浦和の守護神・池田咲紀子だった。

「声は掛け合っていたけど、簡単に連続失点してしまった(18分:田中美南、23分:植木理子)。もったいなかったです」と肩を落とした。どちらもわずかなマークのズレを修正できていれば防げていたかもしれない。それだけに悔やまれる苦いものだった。

 しかし、その後は素早い飛び出しで突破を防ぎ、強烈なシュートを跳ね返した。終了間際にはハーフウェーラインまで上がって攻撃に加わり、最後尾からチームを鼓舞した。だが、あと一点が遠かった。

 池田にとっては、変革の1年となった。今年3月のアルガルベカップで、チームメイトでもあるGK平尾知佳の代わりに急きょ、なでしこジャパンに初招集されると、「どんな状況でも普段通りのパフォーマンスを心がけるだけ」と、浦和にいる時と変わらず黙々と最高の状態に仕上げるようにトレーニングに励んだ。するとその大会からキャップを重ね、東アジアE-1選手権では全3試合にフル出場。なでしこジャパンの正GKに定着せんとばかりの安定感を見せている。

 168センチの身長はGKとして恵まれているとは言えない。ただ、彼女の特長と言える素早く冷静な判断力を生かしたプレーは、あらゆる局面で効力を発揮してきた。守備時はもちろん、ラインコントロール、ビルドアップ、守から攻への切り替え……。現在、なでしこジャパンでは彼女自身も含めさまざまな守備陣の組み合わせが試されているが、その環境をもプラスに捉える柔軟性がある。池田は言う。

「通常ならできることが、(代表では)できない状況になることが多い。ならば、できないことを踏まえた予測を心がければいい。そういうリスクマネージメントの引き出しを増やすことも必要」

 代表でできなかったことをチームに持ち帰り、チームでできることを代表でトライする。池田はなでしこジャパンで、浦和レッズレディースで、急速に経験値を増し、そして足りなかったものを吸収している。まだ成長過程にある25歳の若き守護神。想像もつかない伸びしろがありそうだ。

取材・文:早草紀子
text by Noriko HAYAKUSA

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