豪華なでしこ競演。その中で仙台の隅田凜が浮かべた特別な涙

試合後、ユニフォームで顔を拭った仙台の隅田凜。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

W杯代表11人が集結したベレーザ対マイナビ仙台。「バレました? 自分でも説明のつかない涙でした」

[なでしこL 8節] 日テレ・ベレーザ 3-0 マイナビ仙台/2019年5月12日/ひたちなか

 なでしこリーグ8節、マイナビベガルタ仙台レディースは3-0で日テレ・ベレーザに敗れ、最下位脱出はならなかった。一方、ベレーザは首位に再び立った。

 2日前の10日にフランス女子ワールドカップに臨むなでしこジャパン(日本女子代表)が発表され、ベレーザからは阪口夢穂、山下杏也加、籾木結花、清水梨紗、長谷川唯、三浦成美、小林里歌子、宮川麻都、植木理子、遠藤純の10人、仙台からは市瀬菜々が選出された。

 阪口と長谷川はコンディションが万全でないためベンチから戦況を見守る形となったが、実に豪華な面々の競演となった。

 ベレーザは、その二人に代わって中盤に宮川麻都、籾木結花を据える布陣でスタート。すると24分に宮澤ひなたのゴールで先制。65分にドリブルで中央から運んだ植木からのラストパスを籾木がよどみなく決める。さらに81分には途中出場の小林里歌子のアシストで宮澤が再び合わせてダメ押し。首位の浦和レッズレディースが敗れたため、1試合で首位に返り咲いた。

 慣れない布陣でも、しっかり攻撃を組み立てるベレーザの底力を見せつけた90分だった。

 そのリーグ4連覇中の女王に、特別な想いを抱いて対峙している選手がいた。

 隅田凜――メニーナ時代から11年、緑のユニフォームを着て戦ってきた隅田だが、さらなる成長を求めて今オフに仙台への移籍を決断した。怪我で開幕から多少遅れを取ったものの、彼女にとっても大きな意味を持つこの試合をピッチの上で迎えることができた。

 初めてとなる古巣との対決に隅田は「最初は相手を間違えそうになるくらい不思議な感覚でした。なんだこれ!って(笑)」と慌てたそう。しかしそれも一瞬のこと。すぐさま闘争心をむき出しにしていた。

 パスの出し手のタイミングも受け手のポジションも熟知している。誰よりも厳しく、鋭く球際に入り込む。彼女なりの意地と負けん気の強さが垣間見えた。

 気迫溢れる隅田のプレーに触発されて、仙台がベレーザの攻撃を食い止める場面が何度も見られた。しかしバテてきた後半に生まれた隙をベレーザが見逃すはずもなく、終わってみれば完敗を喫した。

 元チームメイトとのあいさつを終えた途端、涙が込み上げてきた。隅田は何かを押しとどめるようにその涙を拭った。

「バレました(笑)? 自分でも説明のつかない涙でした。力の差があるのは分かっていたけれど、もっと対抗したかった……」

 隅田はうそぶく。結果が出ない。どうしてもチームの雰囲気が沈んでしまっている。そこを悔やむ。チームとして、確実にできるプレーが増えてきている。その手応えはある。

「市瀬選手とのボランチで何とかワンテンポ作って攻撃につないでいけたら……。一つパスがつながれば突破口が見えてくるはずなんです」

 隅田自身も課題は自覚している。

 この日も順位を上げることはできなかったが、やるべきことは共有できている。

 浮上のときは必ず訪れる。

古巣との一戦、隅田も球際で一歩も引かず!。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
ベレーザの女子W杯代表10人と、サポーターからの応援のメッセージが書き込まれた日の丸。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

取材・文:早草紀子
text by Noriko HAYAKUSA

Posted by 早草紀子

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