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なぜ、ドルトムントはシュテーガーを新監督に選んだのか。香川真司とツォルクSDが挙げていた再建への共通のキーワード

日本代表の香川真司 写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

ふたりがキーワードに挙げていた『Stabilität』

ドルトムントがペーター・ボス前監督を解任し、前ケルン指揮官のペーター・シュテーガー氏を新監督に招き入れた。今季1部リーグで14試合して1勝も挙げられず最下位に沈んでいたチームを解雇されたばかりの監督を、優勝戦線への再浮上を目指すドルトムントが「獲得」。さすがに誰もが驚いた人事だった。

ただ、シュテーガー新監督の就任記者会見でのミヒャエル・ツォルクスポーツディレクターと、低迷していた時期の試合後の香川真司が、チーム再建のために同じキーワードを挙げていたのだ。そこからシュテーガー氏の役割も見えてくる。

ドルトムントの低迷を象徴するような試合のひとつに挙げられるのが、10月21日のアウェーでの9節・フランクフルト戦だった。2-0とリードをしながら、終盤に2失点を喫してドロー。ほぼ手中に収めていた勝点3を失う最悪の展開となり、チームは泥沼へとハマっていった。

途中出場していた香川は試合後、「チームとして、安定したプレーを見せられずにいるのは事実。自信と勢いを失ったなかで、やり続けるしかない」と前を向こうとしていたが、「高い位置からプレスをかけにいくなかで、裏のスペースを狙われている。そのなかでどのようにポゼッションの質を高めるべきなのか。ボールの失い方も悪く、リスクマネジメントも、ちょっと意識がバラバラになっている」と課題を挙げていた。

一方、ツォルクSDは12月10日の記者会見で、シュテーガー氏の招聘の理由について、次のように語っていた。

「ペーターはケルンで4年間にわたり優れた仕事をし、チームを発展させてきた。高い安定感をもたらしていたことを証明している。その点が私たちには欠けていた、特に守備面で。監督としての経験があり、このチームに迅速に対応できるはずだ」

『große Stabilität/グローセ・スタビリテート=高い安定感』

ツォルクSDと香川は「安定感の欠如」を課題に挙げていたのだ。

ドルトムントのフロントは今季はリーグ戦で結果を残せずにいるものの、就任1年目での1部昇格、12位、9位、5位(ヨーロッパカップの出場権を獲得)と上位に導いたシュテーガー氏の手腕を評価。守備の再構築と安定した戦いを期待していることが分かる。

チームの抱えてきた「課題」にしっかりメスが入ったと言える。「普通に考えれば、驚きの展開だというのは分かっている」とシュテーガー氏は今回の就任劇について語っていたが、クラブの起用の意図はそういった点にあったようだ。

文:サカノワ編集グループ

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