【川崎】ダミアン意地の驚愕ヘッド弾「ディテールを突き詰めていかなければ」
川崎のレアンドロ・ダミアン。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
充実と悔しさ。今季のチームを物語るように「タイトルを獲れたことは嬉しかったが…」。
[J1 33節] 川崎フロンターレ 1-4 横浜F・マリノス/2019年11月30日/等々力陸上競技場
川崎フロンターレの元ブラジル代表FWレアンドロ・ダミアンが横浜F・マリノス戦、途中出場からジャンプヘッドによる1点を返して反撃の狼煙を上げてみせた。しかし……横浜FMの勢いに抗い切れず、1-4の敗戦を喫した。12月7日の最終節はアウェーで北海道コンサドーレ札幌と対戦する。
0-3で迎えた74分だった。主導権を握るなかで途中出場の長谷川竜也が左サイドを突き抜けてクロスを放つ。するとファーサイドに走り込んだレアンドロ・ダミアンが、まさにハンターのごとく、ゴール前にいた誰よりも体半分競り勝つほどのジャンプヘッドで確実にボールを捉え、ゴールネットを揺らした。
レアンドロ・ダミアンはゴールシーンを次のように振り返った。
「(長谷川)竜也がいいボールを上げてくれて、しっかり枠にボールを入れることだけを心掛けました。とにかく自分ができることをしただけですが、やはり勝利に導きたかった……」
さらに川崎が攻勢を強め、あと1点決まれば分からなくなる……という展開に持ち込む。しかし、逆にカウンターからトドメの4点目を決められ万事休す。それだけに試合後、川崎の9番は肩を落とした。
「たくさんのサポーターが来てくれたのは嬉しかっただけに、何よりこの結果が残念で仕方ないです。しっかり勝って(ACL出場権枠の3位)鹿島を抜きたかったですね」
今季加入した30歳のブラジル人ストライカーは、間違いなく新たな武器となって、川崎の前線にさらなる脅威をもたらした。一方、川崎のパスを徹底的につなぐ地上戦のスタイルのなか、いかに特長を発揮するのか。戸惑いつつ、考えて取り組んできた。そうしたなか、それでもい小林悠の12ゴールに続く9得点を決めてきた。
「川崎の形、スタイルというものと自分がこれまで取り組んできたことが少し異なるため、私のできることを考えて、そのうえでリズムを掴みながらやってきました。ただ、今日は横浜F・マリノスに素晴らしい試合をやられてしまいました」
そうしたなかでも、ルヴァンカップで初優勝を果たした。川崎が一つ目標としていたカップ戦の主要タイトルを掴み取ることに成功した。
「選手として、タイトルを獲ることは何より重要です。自分としてもできる限り全力でプレーして、それが一つ形として残せたのは嬉しかったです。(Jリーグを1年戦っての印象は?)競争力のあるコンペティションで、細かいところで試合が大きく左右しますね。そういったディテールの差でリーグ優勝を逃しただけに、そこをしっかり突き詰めていきたいです」
充実と悔しさ。レアンドロ・ダミアンにとって、まさにチームと同様、さまざまな思い……どちらかというと、悔しさのほうが大きなシーズンとなった。今季あと1試合。ダミアン弾と勝利で、締めくくりたい。
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[取材・文:塚越始]