【湘南】イニエスタとデュエルした齊藤未月が悔やんだ”あの場面”
イニエスタ(8番)の凄さを体感した齊藤未月(右)。(C)SAKANOWA
「『イニエスタにボールを集めよう』としているのを、すごく感じた」
[J1 23節] 湘南 0-2 神戸/2018年8月19日/Shonan BMWスタジアム平塚
湘南ベルマーレのMF齊藤未月はヴィッセル神戸戦でフル出場したものの敗れ、試合後に大きく肩を落とした。アンドレス・イニエスタとマッチアップする構図となり、幾度となくデュエルが発生。齊藤のチャージでイニエスタが倒れ込んだことで注目を集めたが、それは些末な話題。本人はこの世界屈指の司令塔と同じピッチで戦ったことで得たものは多かったようだ。
17節に対戦してイニエスタがJリーグデビューした際も齊藤はフル出場し1ゴールを決めていた。ただ、その時とは明らかに存在感が異なっていた。試合開始とともに、肌感覚でイニエスタの凄さを知る。
「ヴィッセルの選手たちが『イニエスタにボールを集めよう』としているのが、すごく感じました。ポドルスキ選手でさえも常にイニエスタ選手を見ていた」
神戸の選手がボールを持てば、まず背番号8を探す。齊藤の目の前にいるイニエスタに何とかしてパスを入れようとしてくる。この”デュエル”が試合のカギを握ると察した。
「逆にそこが狙い目だと感じました。ボールが入ってしまうと、奪うのは難しい。入る前やワンタッチ目が狙えればと思っていました。そこが分かりやすくできました。ただ、間違いなく中心になっていました」
それでも、一瞬のスキを突かれた。37分、斎藤はイニエスタの起点から決まった神戸の先制ゴールの場面を悔やみ、この3連敗の問題点を挙げていった。
「『内容が良くて(も勝てない)』というのがこれだけ続くと、少し視点を変えなければいけないのかもしれません。失点数も増えています。なぜ失点しているのか? そこに重点を置いて、考えてみてもいいのかなと個人的には思っています。僕個人的にも、イニエスタ選手に最後に(失点につながるクロスを)上げられてしまったり、スローインについていかなかったり、そういうところを改善しないと、得点を奪えないのかなと思います」
イニエスタへのマークが緩んだ瞬間、長沢へのピンポイントクロスを放たれた。「決めるべきときに決める」という、サッカーの醍醐味ともいえるプレーを見せつけられた。と同時に、そこを防ぐ守備ができなければ、攻撃にもつなげられないと痛感していた。
この悔しさをぶつける方法は一つしかない。次は齊藤が、湘南を勝たせるプレーを見せる番だ!
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI