【高知】「早く移籍しろ」秋田豊氏の理不尽パワハラの言動が明らかに。「クラブ内のことは自身の判断で決める方針」
秋田豊氏
突然開始時間を早め、テーピングを巻く準備をしていて遅れた選手を練習から外す。
J3リーグの高知ユナイテッドSCは9月20日、前日に秋田豊監督が辞任を発表する記者会見を行ったことを受けて、6月29日から休養中であった秋田氏を巡る「ハラスメント事案に関する調査報告書(要約・公表版)」を発表した。また、山本志穂美社長が辞任することも決まった。
報告書には秋田氏のパワハラ疑惑を巡る言動などがまとめられている。秋田氏が事実上クラブの全ての権限を握る形になり、現場での理不尽な対応を受け入れなければいけない状況だったことが明らかになっている。
報告によると、「秋田氏は、クラブ内のことは自身の判断で決めるという方針をとっており、スタッフにもその徹底を求めていた。実際、スタッフが独自の判断で行動したり、意見を言った際には、他のスタッフから、グループLINE等で指摘を受けることが度々あった。その結果、スタッフは指摘されることを恐れて、自己の裁量で行動をしたり、秋田氏に対し意見を積極的に述べることが難しい状況であったことが伺える」としている。
秋田氏は突然練習開始時間を早め、テーピングを巻いて準備をしていて(秋田氏はその状況を確認していた)遅れた選手に、「練習に入るな」「走っておけ」と言い、練習に参加させなかったことがあった。そのあとの二部練習からも外したという。
また、スタッフから足首の施術を受けていた選手に対し、「お前は、ここの強度にあっていないから、早く移籍をしろ」「お前もどうせ残っていても試合出られないのだから、移籍しろよ。お前ももう少し考えろよ」「前から移籍しろと言ってるだろ」という趣旨の発言をしたという。
弁護士3人で構成される特別調査委員会は、複数の事例を伝えて、そのうち5件をパワハラと認定している。基本的には、ケガを巡るものが多く、「あるスタッフの選手を病院に行かせるようにという提案に、病院に行かせることを否定する発言をしたことがあった」。
中にはドクターの意見を否定する形で、秋田氏の判断により選手を練習に参加させ、(原因は定かではないが)その後ケガが悪化した疑いのあるケースもあったという。
また、選手やスタッフが特定される恐れのある内容は「認定」から除外されたものもある。その一例として、脳震とうの症状が出て病院で診察を受けた選手に、秋田氏が「そんなことくらいで病院に行くな」という発言があったこと、「お前 ADHDだろ」という発言があったことなどが挙げられる。
こうした現場の声に、秋田氏は「記憶がない、または明確に否定している。また、発言などがあったことを認めるものについても、選手又はスタッフを思っての発言(指導目的)であり、チーム全体に対する指導・注意喚起の趣旨であったなどと述べている」という。
ただし調査委員会は、「このような秋田氏の弁明を踏まえたうえで、選手又はスタッフの供述における、客観的な資料との整合性、目撃者又は供述の一致の有無、真摯さ、一貫性、具体性、迫真性等を総合的に判断すれば、上記事実を認定できるものと判断した」としている。
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J3に初めて昇格したクラブだからこその課題や問題、難しさもあったと言える。また、その言葉のニュアンスなどもこの報告書では分からない。ただ、実権を握る秋田氏が、時に謙虚に耳を傾けなければいけない立場にあったのも間違いないようだ。