イニエスタと握手を交わした神戸ユース小林友希が「もっと近づく」ために
タイ戦翌日23日の練習でランニングするU-19日本代表の小林友希(中央)。(C)SAKANOWA
U-19日本代表の新鋭DFが、イラク戦の出場へ意欲を示す。
[U-19アジア選手権 GS2節] U-19日本代表 3-1 U-19タイ代表/2018年10月22日/パカンサリスタジアム(インドネシア)
U-19日本代表のDF小林友希(ヴィッセル神戸U-18)は10月23日にインドネシア・ボゴール市内のグラウンドで、前日のタイ戦に出場しなかった選手と出場時間の短かった原大智と久保建英らと計11人で汗を流した。
攻守の素早い切り替えが要求された紅白戦では、厳しいチェックからボールを奪い起点になるパスを放った。とにかく試合に出たいといううずうずした気持ちの伝わってくる熱いプレーを連発していた。
「次の試合で最高のコンディションで臨めるように、取り組んでいます。(この日は)集中して、今の課題である試合勘を鈍らせず、守備の判断やポジショニングのところを意識してやれました。もちろん選手として、試合に出たい気持ちは強くあるので、そこに向けて監督にアピールできるようにやっていきたいです」
小林は練習後そのように語って、吹き出す汗を拭った。
昨年のU-17ワールドカップ出場メンバーでもあり、ヴィッセル神戸(U-18)からは郷家友太とともに今大会に参戦している。
所属は神戸U-18だが、今季は2種登録選手としてトップチームにも帯同。ルヴァンカップでデビューし、リーグ戦でも2試合に出場している。ボランチにも抜擢された。ただ、まだ今夏にFCバルセロナから加入したアンドレス・イニエスタと対峙する機会は得られずにいる。
「まずヴィッセル神戸の中で僕がポジションを奪うぐらいの選手にならないと、そういう(一緒にプレーする)機会がないので目指していきたいです」
やはり神戸の下部組織の選手にとって、イニエスタと一緒にプレーすることは、一つの目標になっている。小林がトップチームの練習に参加したとき、ちょうどイニエスタが別メニュー調整だったこともあった。
「世界を経験している選手なので一緒にやりたいですし、ディフェンス面でもビルドアップやパスの質に関しては本当に勉強になります。間近で体感できる機会があれば吸収していきたいです」
小林がこれまでにイニエスタと最接近したのは、来日直後のクラブハウスだった。神戸U-18の選手たちが出迎えたときに握手をかわし、全身から放たれるオーラを感じ取った。
「同じチームにいるのですから、普段から学べる存在であり、近い……って言い方でいいか分かりませんが、観て学べるところでは本当にプラスです。いろんな部分を吸収していきたいです」
そう語って小林は頷いた。加えて就任から間もなく小林はこのU-19代表合宿に参加しているが、フアン・マヌエル・リージョ監督の哲学やスタンスを聞いたとき、非常にやりがいを感じたそうだ。
「守備の部分を強調していました。練習内容でも守備のメニューが増え、DFとしては学ぶことが本当に多いです。それを自分のものにして、こうした代表合宿でも生かせるように練習から意識していきたいです」
神戸、U-19日本代表、それぞれのチームでさまざまな触発を受けている。まずは25日のグループステージ最終節のイラク戦。すでに日本は準々決勝進出への1位突破が決定しているが、小林にとっては貴重なチャンスになる。
「持ち味である競り合いの強さやインターセプトを発揮しながら、勝つために後ろからコーチングをして、チーム全体の守備を動かしてプレーしていければと思います」
神戸と日本代表の将来の屋台骨を担える逸材。18歳の新鋭DFは前向きに、チャンスを狙っている。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI