鹿島DF関川郁万が初の公式戦ベンチ入り。その目はギラギラしていた
ACLジョホールDT戦、ウォームアップする関川郁万。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
福岡の三國の話題を振ると、彼は言った――「どの世代で、誰が出ていても、僕には関係ない」。
流通経済大柏高校から鹿島アントラーズに今季加入したDF関川郁万が、3月5日のアジアチャンピオンズリーグ(ACL)のジョホール・ダルル・タクジム戦で、公式戦初めてベンチ入りを果たした。
チームの新キャプテンである内田篤人らと戦況を見守りながら、ウォームアップをして出番を待った。しかし、今回は70分に(遠藤康→)安部裕葵、79分に(セルジーニョ→)三竿健斗、87分に(名古新太郎→)土居聖真と、プレッシャーの強度を保つため、運動量の落ちた選手から中盤や前線のタレントへの交代が続いた。
公式戦初のベンチ入り。ひとまず半歩か一歩を踏み出せたと捉えているのか、むしろ悔しさが募ったのか。関川はどのように捉えているのか聞いた。
「まずベンチに入れたことは良いと思います、が……自分は。そこではないですから。試合に出て、もっとやらなきゃいけない。鹿島で試合に出るために、僕はここに来たので。早く試合に出たくて、ウズウズしていました」
目の前にあるラインを越えた先の“フィールド”に立ちたい。関川の闘争本能が働いていた。
一方、全国高校サッカー選手権の決勝で戦った青森山田高校からJ2のアビスパ福岡に進んだ同じセンターバックの三國ケネディエブスは、リーグ開幕から2試合連続スタメン出場を果たしている。その活躍ぶりは何かしら刺激になっているのか? 関川は少し強く言った。
「自分は自分なので、そこをまず持っています。どの世代で、誰が出ていても、僕には関係ない。自分はこのステージを選びました。ここで結果を残せるかどうかで、この先も大きく変わってくる。まずここで結果を残すこと。そうしなければ何も始まりません」
カシマサッカースタジアムで1試合の流れを経験し、チームも勝利を収めた。今回は「ACLの雰囲気に触れられて、審判の笛の質を少しは掴めました」と、実戦への準備は進められた。
昨年1年で、植田直通と昌子源が海外挑戦の道を選び、スクランブル時にセンターに入った西大伍もヴィッセル神戸へ移籍。鹿島のセンターバックは、町田浩樹、犬飼智也、チョン・スンヒョン、ブエノ……いずれも成長中のタレントと言える。関川の力が必要とされる日は近いか。「信頼」を得て彼がポジションを掴み取る日が早いか。関川のその目はギラギラしていた。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI