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幻に消えたイニエスタとリージョが描いた「神戸最強化計画」

神戸のアンドレス・イニエスタ。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

SNSで「Arigato」と感謝の想いを綴る。吉田体制初陣は5万人超えの浦和戦!

 ヴィッセル神戸のフアン・マヌエル・リージョ前監督の契約解除を受けて、MFアンドレス・イニエスタが4月17日、SNSのツイッター( アカウントは @andresiniesta8 )を更新して、感謝の想いを綴った。

 イニエスタはリージョと笑顔でハグをし合う写真とともに、次のようにスペイン語と英語でアップした。

「有難う、監督。あなたとともに仕事をできた日々は喜びに満ちていました。幸運を祈ります。Arigato」

 スペイン出身の同郷でありイニエスタはリージョ監督に全幅の信頼を置いていた。昨年10月の就任後、イニエスタは指揮官について、「素晴らしい監督。チームが必要としていることを、もたらしてくれている」と語っていた。一方、「変化は時間が必要。とても良い状態で練習ができていて、必ず結果がついてくると信じている」と、リージョスタイルの浸透にはある程度の辛抱も必要だと感じ取っていた。

 2019シーズンに向けた年明けの始動後は、Jリーグ史上初となるプレシーズンのアメリカ遠征も組まれた。ところがプレシーズンマッチは4試合を予定しながら、2試合が悪天候によって中止に……。新たな試みにはリスクが伴うものであり、これも積み重なった要因の一つにすぎない。とはいえ、この時間の使い方の”誤算”も、結果的にチーム作りに影響を与えたと言えた。

 それでもイニエスタは前向きだった。Jリーグ開幕前のプレスカンファレンスで、リージョ体制下での手応えを掴み、期待に胸を膨らませていた。

「独自のスタイルを目指しているので、特定の選手うんぬんというより、チーム全体が守備と攻撃、バランスのとれたサッカーをすることが大事。いい試合をして、勝利を重ねていきたい」

「(自身の目標は)ベストパフォーマンスを見せ、優勝に貢献すること。昨シーズンよりも相手チームについて、より多くのことを知ることができているので、対戦相手に応じて、よりより選択肢を見せていきたい」

 今オフにダビド・ビジャが加わり、さらに開幕後にダンクレー、セルジ・サンペールと続々大物を獲得。そして4-3-3をベースとした個の力を最大限に生かす戦い方は、乱高下があるものの、徐々に結果も残し出してきていた。が、そのなかで、今回、監督交代劇が起きた。

 結局、リージョ前監督が思い描いていたであろう強力な神戸像は見えないまま幻と消えた。イニエスタとの「時間がかかる」共同作業は、ここからが楽しみだっただけに残念だ。

 一方、古橋亨梧は「あなたと出会えて良かった。あなたの指導を受けられて良かった」、サンペールは「改めてサッカーを楽しめるようになった」とSNSでつぶやくなど、リージョへの感謝を惜しまない。

 そうしたリージョの精神は、神戸の選手たちの”内側”で生かされていくに違いない。

 最近の神戸は2連敗を喫し、J1リーグ通算3勝1分3敗の10位と順位を落とす。今週末20日(13:00~)は観衆5万人以上が集う、アウェー埼玉スタジアムでの浦和レッズ戦を迎える。

 再び指揮を執ることになった吉田孝行監督のもと、イニエスタにも、この悪い流れを変えるひと仕事が期待される。

文:サカノワ編集グループ

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