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横浜FM渡辺皓太が「楽しかった」新天地デビュー。しかし気を引き締めていた理由は?

天皇杯の横浜FC戦でデビューした渡辺皓太。(C)SAKANOWA

三好と天野の”良さ”を引き継ぐような日本代表にも選ばれたMF。「みんながサポートしてくれました」

[天皇杯3回戦] 横浜FM 2-1 横浜FC/2018年8月14日/ニッパツ三ッ沢球技場

 この夏に東京ヴェルディから横浜F・マリノスへ完全移籍で加入したMF渡辺皓太が、天皇杯3回戦の横浜FC戦で新天地デビューを果たした。4-3-3のインサイドハーフで先発し(ボランチでもプレー)、鋭いターンから攻撃のスイッチを入れるとともに前線に推進力を与え、さっそく多くのチャンスを作り出した。

「プレーしていて楽しいし、これからも楽しみです。より運動量が求められ、味方の選手の立ち位置を見ながら、自分の立ち位置も考えて決めないといけない。常に頭も体も動かしていないといけない。そこも楽しいところの一つ。まだ日も浅いですが、やっていけば良くなっていけます」

 渡辺はそのように横浜FMでの”デビュー戦”を振り返った。

 さっそくチームにフィットしているように感じられた。が、それは横浜FMの周囲の選手たちが気を使ってくれたからだと、渡辺は感謝する。

「まだまだフィットしている感覚はないです。周りの選手が上手いので、僕をサポートしてくれていたからで、そのお陰で今日はストレスなくできたのだと思います」

 渡辺はそのうえで、「もっとボールに触らないといけないし、今日は前半立ち上がりしかいいところがなかったので、90分間(ゲームから)消えることなく、かかわり続けられればいいなと思います」と課題を挙げていた。

 ボールに関わり合いながら前へ持ち運んでいくスタイルは、まさに渡辺が自身の持ち味を生かせると感じている部分でもある。トリコロールの背番号26は「自分の力を出せるチームだと思います」と、頷いていた。

 守備面でも何度もボールを奪って、守から攻の起点にもなった。が、そこは判断材料にするのはむしろ危険だと彼は感じていた。

「いや、ここからです。これがどれだけJ1レベルでできるかが、まだ分かりません。そこ(J1)でやってから、ですね」

 彼はそのように気を引き締めていた。

 また、アンジェ・ポステコグルー監督は試合後の記者会見で、渡辺を90分フル出場させたのは”想定外”だったものの、そこでも発見があったと語った。

「チームに合流してまだ4、5回して練習をしていませんが、そのなかでいいパフォーマンスを見せてくれたと思います。90分間出場させるつもりはなかったのですが、(ケガ人が出るなど)状況が状況だっただけに起用し、ただ彼は体力が落ちることなくプレーを続けてくれて、そこは本当に良かったと思います。マリノスにとっても、いい選手が来てくれたなと思っています」

 パスやキックの精度(例えば……中村憲剛のような相手が嫌がり、味方の特長を引き出すパスやキックの追求など)、そしてゴール前でいかに脅威を与えるか、そのあたりがJ1で戦っていくうえでの課題になってくるか。ただ、15日にベルギーへの挑戦のため退団が決定した三好康児、それに天野純、昨季からの横浜FMを牽引してきた二人の良いところを併せ持ったような中盤を担えるタイプ。マリノスにまた新たな風をもたらすに違いない。

 コパ・アメリカの日本代表にも選ばれ東京五輪代表(現・U-22日本代表)でもコンスタントに活躍してきた20歳の楽しみなタレントが、三ッ沢での横浜ダービーで、上々のスタートを切った。

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[取材・文:塚越始]
text by Hajime TSUKAKOSHI

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