J1昇格プレーオフ、徳島監督が訴えた「不公平」を考える。中立地開催、あるいは…
徳島のリカルド・ロドリゲス監督。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
J1・16位のホームゲーム。J2代表チームに「本来の力を出せない環境」になりすぎている。
[J1参入PO決定戦] 湘南 1-1 徳島/2019年12月14日13:00/Shonan BMWスタジアム平塚
J1参入プレーオフ( PO )決定戦、湘南ベルマーレが1-1で徳島ヴォルティスと引き分け、J1残留を果たした。ただ、その試合後、徳島のリカルド・ロドリゲス監督が「J2の代表として来ているが……」という立場で、決定戦がJ1のホームゲームで行われ、そこでJ2チームが勝利を求められる非常に難易度の高い状況に疑問を投げかけた。
リカルド・ロドリゲス監督は次のように語った。
「私たちは一つひとつ積み重ねながら、ものすごく素晴らしいシーズンを送れたと思います。勝利にふさわしいことをしてきたと思います。
やはりアウェーで戦うのは簡単ではありません。私たちはリーグ42試合、それからJ1参入プレーオフの2試合を勝ち抜いて、今日の試合を迎えました。
このシステムは私たちJ2を戦い抜いてきたチームにとって、かなり平等ではない不公平なシステムだと思います。
私たちが素晴らしいシーズンを送ったとしても、この一発勝負をものにしないといけません。
45試合戦って22試合以上勝ってきた一方、相手は34試合で10勝しかしていません。こうしたことは、J2、J1、それぞれにとって、もう一度再考したほうがいいのでないでしょうか」
以前はJ2からの昇格3チーム目を争う「昇格決定戦」が国立競技場で行われてきた。そして昨季からはJ1の16位チームが加わる「J1参入プレーオフ決定戦」となり、J1の16位チームのホームゲームで、J1・16位チームが引き分け以上で残留決定、J2代表チームは勝利が求められるという厳しい状況に置かれる。
本来であれば降格していたJ1の16位が”敗者復活”としてプレーオフに登場する。ところが、ホームゲームとなることで、むしろ”罰ゲーム”よりも、サポーターの最高の後押しを受けられる”ボーナスチャンス”のような位置づけになる。
もちろん、過去のJ2からの昇格チームが、J1でほとんど結果を残せず降格していった例も多い。そのため、こうした入れ替え戦が組まれるようになったことも背景にある。昨年の磐田、今年の湘南のJ1残留は間違いなく妥当である。
ただ、そこまでJ1の16位に「大きな優位性」を持たせる必要があるのか? そこは確かに疑問でならない。
J1チームに優位性を持たせ”引き分けOK”にするのであれば、せめて中立地(新国立競技場など)、なんならJ2代表チームのホームゲームで行うべきではないか。
あるいはホーム&アウェーにするか(緊張感と面白さを求めるならば、一発勝負のほうが盛り上がりそうだが)。せめて延長戦までは実施するか(それだけでも戦い方は変わってくる)。PK戦まで行うのか(ちょっと酷か?)。
確かに、J1・16位チームがあらゆる面で”主導”を握れる現システムは、勝ち上がってきたJ2代表チームにはあまりに酷だ。何より「本来の力を出せないための環境」を、Jリーグが準備していると言われてもおかしくない。J2の代表者は一枚岩になり、そのあたりの「不公平」さを、しっかりと主張すべきだ。
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[取材・文:塚越 始]j