伊東純也が辿り着いた新境地。ぶ厚い柏の選手層に「個」が磨かれて――
決勝点を決めて歓喜する伊東とチームメイト。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
ACL傑志戦で亀川を信じて生まれた決勝ゴール。
[ACL GS3節] 柏 1-0 傑志(香港)/2017年3月6日/日立柏サッカー場
柏レイソルは1月30日にACL(アジアチャンピオンズリーグ)のプレーオフ・ブリーラム(タイ)戦に臨むため、「まず、その試合に全力を尽くす」(下平隆宏監督)と早い段階から調整。その試合をしっかり3-0で突破し、本戦に進んだ。
その試合で1ゴール2アシストを記録し、好調をキープしているのがサイドアタッカーの伊東純也だ。ジェフ千葉とのちばぎんカップでも1得点3アシストでMIP賞を受賞。チームを右サイドから引っ張ってきた。
それでも最近は「ゴール」という目に見える結果がついてこなかった。それだけにこの傑志戦での亀川諒史のクロスに体に当てて決めた地味な決勝ゴールは、「勝てなければ、次はないと思っていた」という気持ちのこもったものだった。
今季、彼は繰り返し「欲しいのはタイトル。ACLでも、Jリーグでも優勝したい。そのためにゴールやアシストで貢献したい」と言ってきた。そのドリブルで縦にまっすぐ突き抜けるプレー同様、昨季(リーグ4位)以上の辿り着く先は――頂点しかないと。
ただ、興味深いのは、かといってエゴを剥き出しにしているわけではない点だ。
「自分が、自分が、となってしまうと良くない。そこは気を付けています」
プロ4年目、3月9日に25歳の誕生日を迎える。周りの良さをいかに生かすかと体得してきた。この日のゴールも、「カメ(亀川)が必ずクロスを上げてくるから、(相手の)前に入って詰めていこうと思った」と予期したところから決まったもの。”俺のほしいところにパスを”と要求したわけではない。
周りを生かし、周りに生かされる。今季さらに選手層がぶ厚くなった柏で、伊東はそんな阿吽の呼吸を合わせることを楽しんでいるように見える。辿り着いた新境地。柏を包むすべてが伊東を成長させている。
文:サカノワ編集グループ