ブーイングのち歓声。ヴィッセル神戸の広瀬陸斗が古巣・鹿島サポーターに感謝「4年間タイトルを獲れず、その悔しさがある移籍でした。それだけに有難かったです」
広瀬陸斗。写真:上岸卓史/Takashi UEGISHI
負傷明け、このカシマでの復帰を目指してきた。吉田監督のもと、ウイングとして貴重な存在に。
[J1 15節] 鹿島 1–0 神戸/2024年5月19日15:00/県立カシマサッカースタジアム
J1リーグ15節、前節まで首位に立っていたヴィッセル神戸は鹿島アントラーズに0-1で敗れ、順位を一つ落として、両チームとも勝点29で並んだ。大迫勇也ら前線へいい形でボールが入らず、吉田孝行監督は試合後にサイドで良い形で起点を作れなかったことを敗因の一つに挙げていた。
そうしたなか神戸にとっての朗報が広瀬陸斗のケガからの復帰だ。昨季まで在籍した鹿島とのアウェーゲーム、佐々木大樹と代わってピッチに立ち、何度かチャンスを作り出していった。
鹿島や横浜F・マリノスでは4バックの左サイドバックで起用されてきたが、吉田監督のもとではウイングとして起用されている。ハイプレスから起点になれるとともに、ボールをしっかり収められ、そこからパワーと精度を備えたキックを放てるところも評価されている。
カシマスタジアムでの復帰戦。広瀬がピッチに立つと、鹿島サポーターからはスタジアム全体でブーイングが鳴り響いた。ただ試合後、両チームの選手たちが挨拶を終えたあと広瀬が鹿島サポーターで埋まるゴール裏へあいさつに訪れる。
すると鹿島サポーターからはとても大きな拍手が広瀬に送られ、チームのチャントも歌われた。ノーサイドとなった終了後、4シーズン在籍した”同志”のカシマスタジアムへの帰還を温かく歓迎していた。
ブーイングのち歓声――。広瀬は試合後、次のように鹿島サポーターへ感謝した。
「ブーイングは気持ち良かったです。神戸の選手たちからは『いいなー!!』と言われていました。逆に気持ちよく思ってできました。試合が終わってあいさつへ行った時、サポーターが声援をくれました。4年間でタイトルを残せず、その悔いが残る移籍でした。それだけに有難かったです」
今回のケガをした時、トレーナーと話し合い、この鹿島戦での復帰を目標にしてきたという。広瀬は「特別な想いはありますが、自分たちは1試合1試合、目の前の相手と戦うだけです。次の試合、また頑張ります」と、この復帰戦で得たものを次へ生かしたいと頷いた。
ちなみに昨季からの鹿島の変化について問われると、広瀬は「今年はより前へ前へという意識が強くなったと感じます。仕事のできる選手を並べているのな、とも思いました」とも語っていた。
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神戸は今日22日、ルヴァンカップ3回戦でカターレ富山と対戦。このあと26日のリーグ戦、ホームで東京ヴェルディとの一戦が組まれている。