【千葉L 0-1 新潟L】ジグソーオフサイドシチュエーション、山本結菜の劇的ゴールが認められる
山本結菜のゴールが認められ、新潟Lが千葉Lに勝利! (C)WE LEAGUE
二人の情報共有によって、精度の高い判定を下す。
[WEリーグ 5節]千葉L 0-1 新潟L/9月6日18:34/フクダ電子アリーナ
WEリーグ5節、アルビレックス新潟レディースが試合終了間際90分の山本結菜のゴールで、ジェフユナイテッド市原・千葉レディースに1-0の勝利を収めた。
この決勝点の場面、オフサイドの可能性があったため、主審が副審と情報を共有し合って、最終的にゴールと判定を下している。
新潟Lが一気に波状攻撃を仕掛ける。すると園田瑞貴が左サイドからクロスを放つ。これを逆サイドのファーポスト付近にいた有吉佐織がマイナスに折り返す。そこに飛び込んだ山本がシュートをゴールネットに突き刺した。
ただ、そのシュートコースのオフサイドポジションに、新潟の選手がいた。
果たして、オフサイドの位置にいた選手が、千葉のGK田中桃子のプレーを妨げていたか。その判断で、オフサイドか、得点か……どちらかが決まるというシチュエーションに。
すると副審はフラッグアップをせず主審を呼んで協議を開始した。おそらく、副審は山本がシュートを打つ瞬間、オフサイドポジションに新潟の選手がいたことをしっかり確認していた。また、GK田中が左右に振られて、最後は少し前へ出ている。そのあたりでオフサイドのファウルがあったと断定し切れないが、視野など塞いでいたかどうか? 新潟の選手がGKの動きを妨害していたかどうか? などを主審とチェックし合ったと見られる。
その一連のプレーを異なる視点から見ていた主審が、最終的にオンサイドで「ゴール」と判定。VARのないWEリーグであるが、二人の情報共有によって、より精度の高い判定を導き出した。
日本審判員の育成に携わったレイモンド・オリヴィエ氏は、こうした審判同士で情報を持ち合わせて判定を下す場面を「ジグソー(パズル)オフサイドシチュエーション」と呼んでいると、2019年に公開された「Jリーグジャッジリプレイ」で解説している。現在もユーチューブのJリーグ公式チャンネルにて「ジグソーオフサイドシチュエーション!?ナイスジャッジに注目!!」と題した動画が公開され、詳しく知ることができる。
今回はその結果、ゴールが認められた。
一方、タッチライン沿いで主審と副審が入念に協議し合っている際、新潟Lでチームキャプテン川澄奈穂美がベンチに下がったあとにキャプテンマークを巻いていた選手が二人に近づいて話しかけ、何度か「今は離れて」と指示を受けていた場面があった。「キャプテンオンリー」は主審が下した“決定”について、混乱を避けるために説明や対話をする際のルールである。決してこうした状況でも主将だから入って良いというわけではないのは留意したい。
過去のジグソーオフサイドシチュエーション>>J2首位の徳島『ゴール無効』で涙、甲府に0-1。リカルド・ロドリゲス監督「大きなダメージを受けた選手もいた」
審判同士で話し合っているところに誰かが入ってくれば、そこでまた議論が中断され混乱が生じ、時間もかかってしまう(今回も「今は近づかないで」「離れて」と主審に言わせてしまうことで無駄な時間になっていた)。判定に影響を及ぼそうといるとしてイエローカードの対象になっていた可能性もあり、そのあたりの配慮は心掛けたいところだ。