J2首位の徳島『ゴール無効』で涙、甲府に0-1。リカルド監督「大きなダメージを受けた選手もいた」
徳島のキャプテン岩尾憲。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
土砂降りで5分間中断、12試合ぶりの敗戦。無得点も14試合ぶり。
[J2 27節] 徳島 0-1 甲府/2020年10月17日/鳴門・大塚スポーツパーク ポカリスエットスタジアム
J2リーグ首位の徳島ヴォルティスがヴァンフォーレ甲府に0-1で敗れ、12試合ぶりの黒星を喫した。無得点も14試合ぶりだ。
ビルドアップの起点に厳しいプレスを受け、ゴール前もしっかり固められた徳島は、なかなか攻め切ることができない。
それでも41分、敵陣でフリーキックのチャンスを得る。
そこでホームチームはトリックプレーを披露。そして狙い通り、最後はファーサイドからゴール前へ詰めたジエゴがヘッドで押し込む。
スタジアムでもゴールがアナウンスされ、センターサークルにボールも置かれる。両チームの選手はそれぞれの陣地で試合再開を待つ。
そこで副審が主審を呼んで協議を開始。オフサイドの旗は上がっていなかったが、ゴールシーンについて確認する。どうやらジエゴがシュートする前、空中戦の競り合いで、徳島の河田篤秀が触っていればオフサイドではないか――と、それぞれが事実を持ち寄る「ジグソーオフサイドシチュエーション」になった。その結果、主審がゴールを無効にし、ジエゴのオフサイドと判定を下した。
本当にオフサイドだったかどうかは微妙だった。ただ試合はリスタートされておらず、ルール運用に問題はなかったと言えた。中断は5分間。前半アディショナルタイムに突入する時間帯で、トータル6分間が加算された。土砂降りの雨に打たれ続けた選手たちのコンディションとメンタルへの影響が大きかったことは否めない。
そして77分、甲府のドゥドゥにゴールが生まれる。試合終盤、相手に退場者の出た徳島は数的優位に立ち、猛攻を展開。河田のシュートがクロスバーを叩くシーンもあった。結果、徳島は0-1でホームゲームを落とした。
徳島のリカルド・ロドリゲス監督は試合後の記者会見で、次のように語った。
「精彩を欠いた時間がありました。精細というよりもつなぎのところで、2トップの働きは良かったのですが、一方、つなぐ面で目指したこととずれてしまっていた面があり、下からつなぐタイプの選手を入れて落ち着きを取り戻せました。お互い3、4本のチャンスがあり、それを決めたほうが勝つという展開でした。甲府はゴールを決め、私たちは至らなかった。最後、河田のシュートがバーを叩くなど惜しい場面がありましたが、勝利を得ることはできませんでした」
また、ジエゴの『幻のゴール』について「精神的なダメージも大きかったのではないか」という問いに対し、指揮官は次のように答えた。
「一度入ったと判定されたゴールが覆され、(オフサイドの)旗も上がっていませんでした。ただ、我々はそこに目を向け続けていても、何も生まれません。自分たちにできることを考え、次に切り替えるしかありません。もちろん悔しいですし、何人かは、とても大きな精神的なダメージを受けたと思います。ただそのあと、選手たちはゴールを奪おうと、最後まで戦う姿勢を見せてくれました。私はその選手たちを信頼しています」
徳島の無敗は12試合でストップ(勝点52のまま)。一方、甲府は徳島との勝点差を「10」にして、息を吹き返した。2位の11連勝中のアビスパ福岡は18日の試合で、首位に立つチャンスも巡ってきた。J1への昇格枠「2」を巡る、J2上位陣の争いは混沌としてきた。
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[文:サカノワ編集グループ]