柏好文が広島の開幕連勝にも「これが完全形ではない。こんなものじゃない」
今季在籍5年目を迎える広島の柏。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
試合終盤にはキャプテンマークをつけてプレー。中心選手としての自覚を一段と強める。
[J1 2節] 浦和 1-2 広島 /2018年3月4日/埼玉スタジアム
サンフレッチェ広島の柏好文は浦和レッズに逆転勝利を収め、リーグ開幕2連勝を飾ったことを素直に喜びつつも気を引き締めていた。
この試合ではサイドの攻防が重要なポイントだった。左ウイングバックで先発した柏は、状況に応じて右の川辺駿らとポジションチェンジしながら打開策を模索。アップダウンを繰り返し、宇賀神友弥や遠藤航の攻め上がりを抑えつつ、何度も浦和陣内のペナルティエリア内に”顔”を出すことで、逆転劇につなげる綻びをもたらした。
今季は副主将に就任。青山敏弘が後半途中に交代したあとは、キャプテンマークを腕に巻いた。今季5年目を迎えるアタッカーは、昨季以上にチームの中心選手としての強い自覚を持って戦っている。
「ハードワークが最後までできていた。昨年は開幕から躓いたので、ここまで2試合で勝点6を獲れたことはもちろんポジティブに捉えています。しかも、簡単に勝てるような相手ではありませんでした(1節・札幌戦1-0、2節・浦和戦2-1)」
柏はそう振り返る。とはいえ、前半は主導権を握られた(握らせた、とも言えた展開だったが)。耐えて、粘って、勝負どころで仕掛けて勝利を掴んだことは大きな収穫だ。それでも柏は決して満足などしていなかった。
「ただ、これが完全形ではない。広島はまだまだ、こんなものじゃない」
柏がヴァンフォーレ甲府時代に2年間プレーしている城福浩新監督の下、広島は確かな一歩を踏み出した。開幕連勝スタート―—しかし広島復活に向けた物語はここから本編に突入する。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI