【浦和】興梠のPKは反則すれすれ? 競技規則ではフェイントOKだが…
浦和の興梠慎三。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
助走中か、助走完了か、どう捉えるか。
[J1 3節] 松本 – 浦和/2019年3月9日/サンプロアルウィン
浦和レッズが松本山雅との球際で激しくぶつかり合う激しいアウェーでの消耗戦、後半の興梠慎三のPK弾の1点で勝ち切った。浦和はリーグ戦、今季初勝利。松本はホーム開幕戦を白星で飾れなかった。
72分、長澤和輝のクロスが、ペナルティエリア内で体を投げ出した橋本優也の手にあたり、ハンドの反則によりアウェーチームがPKを獲得。このキックで、興梠は動き出してから助走のスピードを落とし、GK守田達弥が向かって左へジャンプしてタイミングを外したあと、右へ冷静に蹴り込んでいる。
この興梠のキックフェイントだが、助走が一度止まっているのでは? という指摘もあった。まずここで、ルールを確認しよう。
サッカー競技規則14条にある「ペナルティキック」2項「反則と罰則 」には次のように書かれている。
「反則と罰則:主審がペナルティーキックを行う合図をしたならば、キックは行われなければならない。 ボールがインプレーになる前に、次のいずれかが起きた場合:
・競技者が一度助走を完了したあと、ボールをけるためにフェイントをする(助走中の
フェイントは認められる)。主審は、そのキッカーを警告する」
つまり、助走が完了したあとのフェイントは反則。助走が完了していない、その手間の”フェイント”であれば問題ないということ。「助走中のフェイント」と解釈すれば興梠の駆け引きが勝ったと言える。
ただ、今回のように、GKはキッカー側は助走を完了した、と捉えて反応している。その場合、どのように解釈したらいいか。
キッカーからすればフェイントであり、GKからすると「助走が止まっている」と感じているからだ。つまり、視点を変えると、反則とも言えるかもしれい。
興梠のPKを何本も見てきたが、確かに今回は一旦止まったと言われていても仕方がないような、ギリギリな印象も受けた。とはいえ、一番近くで見ていた主審が、助走の段階のフェイントだと判断している。8年連続二桁ゴールを目指す興梠の”技ありPK”だったと言っていいだろう。
文:サカノワ編集グループ