異例!?曺貴裁監督「そこはしっかり書いて下さい」。湘南のホープ二人にゲキ、メディアにも注文
湘南の杉岡大暉(左)と齊藤未月(右)。(C)SAKANOWA
杉岡大暉、齊藤未月へ。流れを変えた”プレゼントパス”を「自分の中で許せないプレーにしていかないと」。
[J1 8節] 川崎 2-0 湘南/2019年4月19日/等々力陸上競技場
湘南ベルマーレの曺貴裁監督が4月19日、川崎フロンターレとの対戦で敗れたあとの記者会見で、杉岡大暉と齊藤未月に対して熱いゲキを飛ばした。同時にメディアに向けても、「良いプレー、悪いプレーを整理して伝えてあげてください。1か月ではなく、1日で次へ伸ばすように持っていくこともできます」と注文をした。
指揮官はその試合の流れを掴む「差」を指摘した。
「選手も勇敢に戦ったと思いますし、自分たちがボールを持った時に複数の選手が絡んでゴールに向かおうというプレーを何回かできました。それでも質に関してはまだまだクエスチョンマークがつき、守から攻への切り替えで『これが通ればゴールまでいける』というパスを相手に渡してしまったケースがまだ見られました」
立ち上がりは、今季一番と言える出来だった。リーグ連覇中の王者相手に主導権を握り押し込んだ。しかし13分の武富孝介の負傷交代もあり、その後は徐々に川崎へ主導権が移って行った。
移って行ったというよりも、手渡してしまった。
パスが通らず、たびたび相手にボールが渡る。指揮官は主導権を”プレゼントパス”で手放してしまったと指摘。「プレゼントパスとミスパスは違うと思っています」と、相手に自信をも与えてしまった重大なプレーだったと強調した。
「特に杉岡(大暉)は、(東京)オリンピック、オリンピック…と言われていますが、あれだけ、奪ったボールを相手に渡しているようでは、とても世界では戦えません。それは本人にも伝えました。それは僕たち指導者、もしくは皆さんマスコミの方も、そういった選手たちのどこが良くて、どこが悪いのかを彼らに伝えていく。良いプレーと悪いプレーを整理して、1か月ではなく、1日で次へ伸ばすように持っていかないと」
曺監督はそのようにメディアにも、”選手のため”になる記事を求めた。
「世界のサッカーはどんどん進化しています。欧州チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグを見ていると、10代や20代前半で見違えるように良くなっている選手がいます。 そういう相手と、これから日本代表、オリンピック、U-20代表で戦っていく、齊藤未月もそうです(61分で鈴木冬一と交代)。あの二人は我々のチームの次の世代を担ってもらわなければいけない選手です。
ボールを取られて追いかけない、走らないといったプレーと同じように、そういうプレーが自分のなかで許せないようにならないと、彼らは次のステージに行けない。チーム自体もそこに呼応し、次のレベルに向かわなければと思います」
市立船橋高校から加入して3年目で今年21歳になる杉岡、湘南ユースから2種登録を含めると5年目になる20歳の齊藤。二人に期待を込めて、ゲキを飛ばした。そして指揮官は最後に「二人のことは、しっかり書いてください」ともメディアに呼び掛けた。
湘南はリーグ戦、2連勝のあと3試合勝ち星がなく(1分2敗)、3勝1分4敗(10得点・11失点)と黒星が先行してしまった。曺監督の熱いメッセージが、二人にどう響くか――。
文:サカノワ編集グループ