「膝が曲がらない時もあった」鹿島FW伊藤翔が大岩監督へ”恩返し”の2発
鹿島の伊藤翔。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA ※写真は慶南FC戦
3月17日の札幌戦以来のゴールで逆転&ACL決勝T進出。
[ACL GS6節] 鹿島 2-1 山東魯能/2019年5月22日/県立カシマサッカースタジアム
アジアチャンピオンズリーグ(ACL)グループステージ6節、鹿島アントラーズの伊藤翔が途中出場から2ゴールを決めて山東魯能に逆転勝利を収めた。チームは3年連続での決勝トーナメント進出を果たした。1回戦はサンフレッチェ広島との日本勢対決に決まった。
開幕から好調をキープしていた伊藤だが、3月17日のJ1・4節の北海道コンサドーレ札幌戦(〇3-1)での2ゴール以降、得点を奪えずにいた。
そのなかで今回、0-1とリードを許した63分に中村充孝と交代で途中出場。68分、レオ・シルバのコーナーキックを山本脩斗が後方にすらすと、DFに当たったこぼれ球を鹿島の15番がねじ込み同点とする。さらに70分、レオ・シルバのスルーパスからGKの動きを見切り、シュートを突き刺してみせた。
約2か月ぶりのゴールに、伊藤は「この前、いつゴールを決めたかは、ちょっと覚えていないですね……」と苦笑いを浮かべ、次のように明かした。
「もちろんゴールが欲しかったですけれど、体と足の状態が芳しくなくて、それさえ徐々に良くなってくれば大丈夫だと思っていました。ここで一度休ませてもらったので、監督に恩返しをしたい思いはありました。結果として残せて良かったです」
5月12日のJ1・11節のヴィッセル神戸戦(〇1-0)からベンチスタートとなり、最近ピッチに立ったのは18日の12節松本山雅戦(〇5-0)の6分間のみ。今回勝負どころで投入され、久々にまとまった30分間のプレーをした。
「勝利に貢献できるプレーができて良かったです。ビハイドになったことで一気にチームに緊張感が高まり、しっかり戦ってきて、ここに入って結果を残したいと思っていました」
約1か月前、試合後に膝が曲がらないほどの状態に陥ったという。そこからは試合に向けて再び調子を整え、違和感も拭えぬサイクルを繰り返したが、”本調子”を感じ切れないプレーが続いたという。
「コンディションと足の状態が戻れば決められるとは思っていました。試合をやっているなかで、一瞬のスピードが遅いな……と感じることがありました。そこで剛さん(大岩監督)に休ませてもらったことで、コンディション的にも戻り、ゴールを決められるなと思っていました」
ゴールを決めたことで、コンディションも上がっていくか――。そのあたり伊藤は少し考えたあとに答えた。
「やはり連戦になってきたりしますと、気持ちの面では(ゴールを決めれば)良いですが、疲労は蓄積していきます。(点を取ると)乗ってはいけるけれど、限界はあると感じています(笑)」
それにしても伊藤のゴールが決まると、引き締める。ただ無理は禁物。まだまだケガ人も多い。チームとともに、一歩ずつ調子を上げて、今回のように勝負どころで、伊藤らしいゴールを見せてもらいたい。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI